ドーフィネが始まります

 2017-06-04
自転車ロードレースの年間スケジュールの中で、知名度や規模などだけを考えても間違いなく一番大きな大会であると言えるのが、ツール・ド・フランス。

当然ですが、ここで活躍しようと思っている選手は、いきなり何の準備も無しに挑みはしません。
本番に向けた厳しいトレーニングはもちろんのこと、レース勘を損なわぬようツールに向けた調整レースを、エース格の選手などはそれこそシーズンの始めからしっかりしたスケジューリングの元に走ってきています。

そんな調整レースの中で、本番直前に出場する最後の仕上げとして有名なものの1つが、6月4日から11日にかけて、フランスの南東部で開催される約1週間のステージレース、クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ。

今年もこのレースは J-Sports が毎ステージ中継放送してくれることになっていますので、当然、私もそれをしっかりと観戦する予定です。
ここでの成績がそのまま即ちツールの成績、というわけではもちろんありません。
しかしながら、それぞれのコンディショニングの仕上がり具合などなど、本番であるツールがどうなるかを占う要素は色々とあります。
ですので、今年はどんな選手が、どんな走りを見せるか、やはり楽しみになる気持ちは止められません。

何かと抱えている仕事その他も多いので観戦に専念できないのは辛いのですが……
まあ、それは仕方がないところですよね。
社会人っていうのは、そういうものですから。


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「裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル」

 2017-06-03
異世界モノのラノベ的なタイトルであることに加え、それっぽい表紙の装丁にもなっている、宮澤伊織の『裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル』。
私が定期的にチェックしている作家だったり書評ブログだったりで、かなり絶賛されていたこともあり、いかにも興味深い感じだったので、これは是非とも読まねばならないと思って購入していたものです。

端的にこの作品をジャンルで表現するならば、多くの書評サイトなどで言われているように、「怪談SF」ということになるのでしょう。
もう少し具体的に書くなら、お化け、妖怪、都市伝説といった怪談を題材に、そこに科学的な要素、考証を加えてSFとしてまとめた作品、ということです。

もちろん、実際に妖怪の存在が科学的に証明されているわけではないので、あくまで思考実験というか、「これこれこういう解釈をすれば、ある程度科学的に根拠づけられる」というような感じなのですが。
それを、どういう理論でやってくるのか面白がりつつ読むのも、この手のSF作品の楽しさの1つだというのは、敢えて言うまでもない、でしょう。

ちなみに、ここで扱われている怪談は、例えば江戸時代もしくはその前から伝えられてきているような伝統的なものでは無くて、ネット時代に語られだした、いわゆる実話怪談・ネットロアになってます。
「くねくね」「八尺様」「きさらぎ駅」等、生理的にゾワッと来るような、そういうものが本作には採り上げられているのですが、それがどのように料理されているのかは、読んでのお楽しみということで、ネタバレはしません。
前述のSF的な設定は、なる程ね、という感じで、「これは、やられた」と思わず膝を打つようなことこそなかったのですが、結構、面白く読ませてもらいました。

未解決のこともあるので続編も出そうと思えば出せそうですけれど、その辺は、作者や担当編集はどう考えているのでしょうか。
評判に違わずなかなか良い作品だったので、2巻を出せる材料があるのであれば、それも読んでみたいと思うのですけれど。

ちょっとお薦めの1作です。



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「藤田和日郎本」

 2017-06-01
世の中にムック本というのは、結構多くの数が出ています。
そのジャンルも様々ならボリューム(ページ数)も様々、そして内容の傾向も様々ですよね。
その中でも、私が買うのは大体、マンガ、エンターテインメント系の小説、あるいは好きなミュージシャンに関するもの。

最後の音楽関連のものはとりあえず今回は置いておくとして……
マンガや小説に関するムック本は、特定の作品を採り上げてキャラクター紹介やエピソード紹介等を中心にした、いわゆるファンブック的なものもあれば、評論家の寄稿等を中心に作品論や作家論を中心にした硬派に攻めたものもあります。

そのどちらも、それぞれの面白さがあって良いのですが、硬派な方は時に読みづらさもあったりするのが難点です。
作家論、作品論を語る時に、とかく難しい用語や表現を使うのは、例えばそれを学術的にも通用するようなものにしようとすればそうもなろうなという風に思えますし、そこまでを考えていなくても、普段書いているものの手クセというか、作品や作家について何か書こうとしたら普通にそうなってしまう、ということもありそうなこと。
まぁ、そういった本格的な評論の載っているようなムック本というのは、もともとそういうものを扱う評論雑誌を出しているような出版社の、その評論雑誌の別冊扱いのものだったりするわけですが。
他方、ファンブック的なものというのは、そもそもその作品を出版している出版社が出すことが多く、イラスト等も豊富で、時に書下ろし短編なども掲載されることも。

そんな、ファンブック系のものと、評論系のもの、その両者の中間に位置するようなムック本を、新たに小学館の少年サンデー編集部が、出し始めました。
作品紹介と評論、作者インタビューゲストの寄稿等からなる、その企画の第1弾が、『うしおととら』 や 『からくりサーカス』、『月光条例』、『黒博物館 ゴースト アンド レディー』 等の傑作を描いてきた、藤田和日郎。
そのデビュー直後から藤田ファンである私としては、これは買わずにはいられません。
で、1ページずつ丁寧に読んでいったのですが、これ、いいですね。
ムック本の中でも、なかなかのハイレベル……って、何だか偉そうですけれども、実に楽しく、面白く読ませてもらいました。

このシリーズは、ちょっと注目すべきかも。



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ジロは、ドゥムラン

 2017-05-30
2017年における3大ツールの幕を切ったのは、例年通り5月開催のジロ・デ・イタリア。
今年は記念すべき100回大会ということもあって、相当に熱く盛り上がる戦いが繰り広げられたようです。

ここで、「ようです」というような他人事の表現になるのは、私が今回のジロの中継映像を観ていなかったから。
その辺りは、放映権を有している DAZN に感じた不信や不満が大きく影響しているのですけれども、まあ、何度も同じことを書いてもしかたないので、それはそれとしておきましょう。

毎年、ジロを始めとする3大ツールについては、各賞の最終結果をここに書いています。
なので、DAZN の配信を観ていないからというだけで、その習慣を今年は止めてしまうというのは、それはそれで何だか寂しいなと感じました。
そこで、今年のジロの結果について、ネットの専門サイトなどで結果を確認していた身ではありますが、その概要をこの場に簡単に書いてみようと思います。

まず総合優勝ですが、これは予想通り、かなりの激戦だったよう。
最終的に総合首位のマリア・ローザを手にしたのは、この大会で初めてのオランダ人チャンピオンとなった、サンウェブ所属のトム・デュムラン。
得意のタイムトライアルでいい走りを見せたこと、山岳ステージで何とか食い下がってタイム差を最小限に抑えることに成功したことなどが、2位に入ったモヴィスターのナイロ・キンタナや、3位のバーレーン・メリダのヴィンツェンツォ・ニーバリといったグラン・ツール優勝経験者を押さえて、総合優勝の座を勝ち取った最大の理由、なのでしょう。

次に、ポイント賞のマリア・チクラミーノ。
スポンサーの変更により、今年からまた、紫色に戻ったようですね。
で、これは、最初からここの賞を狙って乗り込んできたクイックステップ・フロアーズのフェルナンド・ガビリアが、グラン・ツール初出場であるにもかかわらず、2位以下に大差をつけて獲得しているようです。
クイックステップ・フロアーズというチームは、ここ、というものを狙って出場してくると、本当にきっちりと結果を出してくるのがさすがですね。
もちろん、エースの走りが素晴らしいから、という前提条件があればこそ、ですが。

山岳賞のマリア・アッズーラも2位との差が大きくて、チーム・スカイのミケル・ランダが圧勝したと言って差し支えない結果になっていますね。

ヤングライダー賞のマリア・ビアンカは、総合順位と同様に、1位と2位が最後まで接戦を繰り広げていた模様。
そしてこちらも、最終日ミラノでの個人タイムトライアルで、クイックステップ・フロアーズのボブ・ユンゲルスがオリカ・スコットのアダム・イェーツを破って見事に獲得することとなったようです。
……ということは、クイックステップ・フロアーズは、100回記念大会である今回のジロ・デ・イタリアで、特別賞ジャージを2つ手にしたということですか。
さすが、職人集団と言われるだけのことはありますね。


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「ニルヤの島」

 2017-05-27
以前に読んだ 『クロニスタ 戦争人類学者』 がかなり面白かったので、文庫化もされているデビュー作も読んでみようかと、実在の戦国武将の名をペンネームにした柴田勝家の 『ニルヤの島』 を購入。

個人の人生の全てをログとして記録し再生できる生体受像(ビオヴィス)の発明により、自分という存在が世界から永遠に失われてしまう死というものに対する恐怖が薄れていき、その結果、死後の世界という概念が否定されることになった未来世界。
円環状の大環橋(グレートサーカム)で繋がれた太平洋の諸島国家であるミクロネシア経済連合体(ECM)を訪れた文化人類学者イリアス・ノヴァクは、現地ガイドとして雇用した日系の若者ヒロヤ・オバックの祖父である、死出の船を作る老人と出会います。
バチカンの法王さえも天国の存在を否定した時代において、死した後に人は「ニルヤの島」に行くと訴える「世界最後の宗教」統集派(モデカイト)が勢力を拡大しつつあるECMで、人の生と死、そしてその魂を導く実験とは、いかなるものなのか。
というような話なのですが……

改めてこの紹介文を書く為にストーリーラインを頭の中で整理してみると、わりとシンプルな物語であることに気が付きます。
しかし、実際読んでいる時には色々な要素が錯綜する複雑な話だと感じていたのは、おそらく、前述のノヴァクの他にもスウェーデン人の女性脳科学者ヨハンア・マルムクヴィストが主役となるもの他、全部で4つのエピソードが並行的かつ複層的に、そして時間軸を前後したりしながら綴られるという構造を、本作が持っているから。
もちろん、そうなっているのにはストーリー的な意味でも作品のテーマ的な意味でも必然があるのですけれど、それ故に一読状態では取っ付きにくい、ちょっと難しい物語に感じられてしまったのは、確かなことでしょう。

先に読んだ 『クロニスタ~』 での「自己相」という設定もそうでしたし、人の記憶や意識の外部へのバックアップ、もしくは共有化というのは、柴田勝家という作家が目下追いかけている大きな軸となくテーマなのかもしれませんね。
彼が大学院で研究しているという文化人類学的な要素は、本作では 『クロニスタ~』 より更に色濃くて、それが本作に独特の雰囲気をもたらしています。

ちなみにこの 『ニルヤの島』 は、2014年の第2回ハヤカワSFコンテスト大賞を受賞しており、その際には審査員にかなりの絶賛を受けたそうなのですが、それもなる程なと納得できる、そんな力作でした。



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