スカイ、盤石ですね……

 2018-06-07

ツール・ド・フランスの前哨戦の1つである、クリテリウム。ドゥ。ドーフィネ。

フランス南西部で現在、絶賛開催中のこのレースですけれど、ここにきて、チームスカイの強さが際立ってきています。
こういうステージレースでのスカイは、ここ数年、実際かなり強いですよね。
それはもう、あんまり強いから可愛げがないくらいに。
だから私など、特に嫌いな選手がいたりするわけでも無いのに、何だか応援したくないチームの筆頭に名前が挙がってしまうようになってしまったりもしています。

とはいえ、これだけの強さを身につけるに当たっては、相当な練習を積み上げてきたであろうことは疑いのないところ。
そういうこともしないで勝てるほど、勝負の世界は甘くないですよね。

その結果、つい先ほど終わった第3ステージのチームTTでスカイは、圧倒的なタイム差でステージ優勝。
この段階での総合順位は、何と1位~4位までがスカイのメンバーです!

強いのは素晴らしいことですが、ここまで差がついてくると、レース自体の面白さが少し減ってしまうようにも感じてしまいますね……
総合を狙う他のチームに、奮起を期待したいところです。



公式サイトはこちらから
タグ :

「トッカン 徴収ロワイヤル」

 2018-06-02
シリーズ4作目となる、高殿円の『トッカン 徴収ロワイヤル』は、実に6年振りに近いスパンが開いて発売された新作。

帯には「<トッカン>シリーズ初の短篇集!」との文句が踊っていて、内容的にも実際そんな感じになっています。
公式の粗筋は、以下の通り。

「税金滞納者に日々納税指導を行なう、国の取り立て屋・国税徴収官は、必要不可欠だけれど、一般には好かれにくい、厳し~い職業である。なかでも、とくに悪質な案件を扱うのが、特別国税徴収官(略してトッカン)だ。情け容赦のない取り立てで「京橋中央署の死に神」と怖れられるトッカン鏡の下、若手徴収官ぐー子が挑むのは、税金とその奥にひそむ人生の難問の数々――飲食店の巧妙に隠された滞納金捜しや、相続税が払えない老婦人の救済と公売ハウツー、税大研修での鬼畜ゼミ発表会や、ブランド品密売人を追っての対馬出張大捕物など……鬼上司・鏡によって磨かれたぐー子の徴収スキルが炸裂するとき、待ち受ける意外なラストとは? バラエティ豊かな徴収官たちの仕事ぶりを、鏡とぐー子がお伝えします。お金の勉強になりつつ、明日への希望が溢れてくる、No.1税金ミステリ『トッカン』シリーズ初の短篇集。全6篇収録。」


と、こんな感じになっているのですが……
6編のうち2つはかなり短めなので、実質的には「全4編+ショートエピソード×2」というくらいが正確なところなのではないかなと思います。

ただし、そのことと、作品の面白さとは別の問題。
個人的に今回は、税務大学校での研修エピソードが良かったかな。
若手国税職員のアレコレ的なことがユーモアをまじえて描かれていて、楽しめました。

なお、実態がこの通りなのかそれとも違うのかは、私は国税職員だったことがないので分かりません。
けれど、そこはきちんと取材をして書いているのでしょうし、その上で脚色をしているのだとしても、そこはエンターテインメントである以上、そこそこのアレンジはあっても止むを得ないので、問題はないでしょう。

久し振りのシリーズ新刊でしたが、ページを捲りだしてみると、やはりこの作品は面白い。
今回は全体的にぐー子の物語としての色味が今まで以上に強く、鏡特官の出番があまり無かったので、ここは是非、次回作で鏡無双を存分に楽しませてほしいものです。



タグ :

フルーム、凄すぎる……っ!!!

 2018-05-29

2018年のジロ・デ・イタリアが、先の週末に終了しました。
今年のジロを一言で表現するとしたら、「奇跡の大逆転」ということに尽きるでしょう。
正直なところ、こういうスポーツの結果などについて何か書いたり言ったりする時に、安易に「奇跡の」というフレーズを使うのはあまり好きではありません。
しかし、それにしても、今年のジロは「奇跡の」と言わざるを得なかったです。
それくらいに凄い大逆転劇でした。

ちなみに、ジロ・デ・イタリア終盤での総合逆転ということだと、2年前の2016年にアスタナ(当時)のヴィンツェンツォ・ニーバリが最大4分43秒まで開いた差を複数のステージで詰めて総合優勝を成し遂げたというのが記憶に新しいところです。
それに比べて、今回の逆転タイム差は少ないのですけれど、しかし、その逆転の仕方が凄かった。

第18ステージ開始時に総合首位だったミッチェルトン・スコットのサイモン・イェーツは同ステージの頂上ゴールで少し調子を崩した様子を見せてライバルに弱みを見せましたが、それでも2位であるチームサンウェブのトム・デュムランには28秒、3位であるバーレーン・メリダのドメニコ・ポッツォヴィーヴォには2分43秒、4位であるチームスカイのクリストファー・フルームには3分22秒の差をつけていました。
これまでのステージでの彼の走りを考えれば、18ステージこそいわゆるバッドデイでタイムを落としましたが、このまま逃げ切ってみせるのではないかと多くの人が考えていたはずです。

しかしイェーツはこの日だけのバッドデイというのではなくて、実は、ここまでの3週間で彼の肉体に蓄積していた疲労は、既に限界に達していました。
続く第19ステージ、今大会の最高峰(チマ・コッピ)を含む厳しい山岳山頂ゴールステージで、中盤移行に連続する登坂の最初、山頂付近に無舗装区間を含むチマ・コッピのフィネストレ峠で、イェ-ツはついに集団からズルズルと遅れだしてしまいます。
それを受けて活性化した集団の中から、なんとフルームが単独でアタック。
比較的大きなタイム差があること、残り距離が80キロ以上あること、フルームただ独りのアタックであること等から、集団はこれを一旦見送ります。
残ったメンバーが協調して徐々にタイム差を縮めて行き、どこかでフルームを捕まえればいい、という判断ですね。通常であれば、それで問題はありません。

ところが、今回はこれが、通常通りには行かなかった。

協力して先頭交替をしながらフルームを追うべき総合上位の選手の中にヤングライダー賞を争っている2人がいたこと、その2人は総合5位であるグルパマFDJのティボー・ピノとのタイム差も逆転可能なレベルだったこと、その他諸々の思惑が絡んだこともあって、フルームを追う追走の動きが微妙に噛み合わなかったのです。
そうこうしている内にフルームの逃げは長距離山岳個人タイムトライアルのような様相を呈してきていて、その走りはタレるどころか、ますます鋭さを増し、集団とのタイム差をどんどん広げて行きます。

結局フルームは2位に3分以上の差をつけてステージ優勝。
80キロの大逃げを成功させた結果、2位のドゥムランに40秒という差を得て総合首位の座に一気に躍り出ることになったのです。

フルームは続く第20ステージも走り切り、最終日ローマでの表彰台の真ん中で、総合優勝の証であるピンク色のジャージ、マリア・ロ-ザを誇らしげに着用しました。

これで、昨年のツール、ブエルタに続き、同年ではありませんけれども3大グラン・ツール連続制覇という、とんでもない記録も打ち立てたことになります。

なお、フルームは山頂ゴールの2ステージで優勝をしたことと、それ以外のステージでもライバルに負けずに堅実にポイントを加算していたこともあって、山岳賞ジャージ、青色のマリア・アッズーラも獲得しています。

また、ポイント賞の紫色のジャージ、マリア・チクラミーノは、今大会に初めからチームとしてこれを狙って参加してきたクイックステップ・フロアーズのエーススプリンター、エリア・ヴィヴィアーニが獲得。

25歳以下の選手が対象となるヤングライダー賞の白色ジャージ、マリア・ビアンカは、アスタナの若手コロンビア人ミゲルアンヘル・ロペスの手にするところとなりました。
彼と争ったモヴィスターのリチャル・カラバスも、母国であるエクアドルに各賞ジャージを獲得するという初めての成果を持ち帰るべく、最後の最後まで全力で攻撃を仕掛けてはいたのですが……
さすがに40秒以上あるタイム差を逆転させてくれるほど、アスタナもミゲルアンヘル・ロペスも甘くはありません。

幾つかのレースを挟んでから、次は、7月のツール・ド・フランスです。
フルームの今年のスケジュールでは、ツールにも出場して、いわゆるダブル・ツールを目指すと言っているのですけれど、今回のジロでの疲労もあるでしょうし、どのようなことになるのか、これも楽しみです。

ジロ・デ・イタリア2018 コースマップ
公式サイトはこちらから
タグ :

「ヒストリア」

 2018-05-26
昨年の8月に発売になった、池上永一の『ヒストリア』は、1994年に『バガージマスパナス わが島のはなし』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞してデビューし、キャリアが23年になる作者が書いた前作の『黙示録』から4年振りになる新作です。

池上永一といえば、ごく1部の作品を除いて、自身の出身である沖縄を舞台にした作品を描き続けてきた作家です。
が、この『ヒストリア』は、装丁に描かれているのが、いきなりチェ・ゲバラ。
昨年はオダギリ・ジョー主演の映画『エルネスト』も公開されていましたが、あの映画にも出てきていた、キューバ革命の立役者の1人である、あのチェ・ゲバラです。

ということは、つまりこれは彼のことを描いているのかな、と思ってしまうと、それは早合点というもの。
これは、これまで沖縄戦については触れずに来ていた池上永一が、構想20年を経て満を持して描いた、大戦末期の沖縄と終戦、駐留している米軍に用地を奪われた人々のボリビアへの移民といった題材を扱った物語です。

とはいえ、そこはやはり池上永一作品なので、本作の主人公は非常にバイタリティーの溢れる女性、知花煉。
沖縄戦における米軍による激しい攻撃で自身の家族を含む故郷の村全てを失い、マブイを落としてしまった彼女が辿る、激動の人生を、沖縄が日本に返還された1972年まで描く年代記、一大絵巻であり、弟カルロスと兄セーザルからなる日系3世のイノウエ兄弟、チョリータのカルメン、沖縄のエリートであった安里や伊計、そしてチェ・ゲバラ等々、魅力的なキャラクターが数多く登場して波乱万丈の物語を紡いでいきます。
池上永一の小説はとかく(いい意味での)暴走が付きものなわけですが、本作に関しては、そこまで大きく暴走をしていたという読後感はありません。
冷静になって振り返れば、あちこちで暴走をしていたと気が付くのですけれど、実際にページを捲っている時には、そういう意識はありませんでした。
これは池上永一がキャリアを重ねて行く過程で技術的に得たものなどが反映された結果なのかもしれませんが、単純に、書き手の年齢が上がると、若い頃のように後先考えない暴走までは、やれなくなってくるということなのかもしれません。

ともあれ、チェ・ゲバラの没後50年、沖縄の本土復帰45年という2017年に発売された本作。
池上永一のこれまでの作家活動の総決算であり、また同時に、これからを占う試金石にもなった、非常に意味の深い作品になったのではないかと思われます。
ちなみに、当初の構想では、この「煉の物語」は2015年まで続く予定だったそうなのですが、沖縄復帰に伴う、結果的にラストシーンになった部分を書いた時点で、ああ、これはここで終わるべきだ、作品としてはここで完結した、と感じて、こういう形での完成になったのだそう。
彼がそう判断した理由は、実際にこれを読めば、多分誰もが納得できる、理解できると思いますが、しかしこれは、かなりショッキングなので、そこの覚悟はしておいた方がいい、ということは書いておきます。



タグ :

AIによる融資審査

 2018-05-23
先月にその名前から「東京」が取れてなくなった三菱UFJ銀行が、人工知能(AI)を使った中小企業向けの融資を2019年度にも始めようとしていることを、ちょと前にニュースで見ました。

AIを使い、預金口座の入出金データから中小企業の返済能力を判断することで、実際に対面しての審査などを行わなくても有効な判断ができるということらしいです。
要は、様々なデータ、取引金額だったり、入金状況や支払状況、公共料金の引き落とし状況などのデータを指標として数値化して、定量的に返済能力、資金的な余裕を判断するということですよね。

ニュースによれば、この技術を活用することで、これまでは融資を受けることがなかなか困難だった創業間もない企業向けにも資金供給ができるような新しい融資モデルを確立することができる、というように三菱UFJは見込んでいる模様。
もちろん、融資部門の人件費もカットできることも、このAI融資を実施しようという動機にあるでしょう。
新たなマーケットを開拓すると同時に、経営合理化にもなるというわけですね。
AIによる定量分析がどこまで、創業間もない企業などが潜在的に持っているかもしれないリスクを低減するのに役立つか、まぁ、数をこなせばこなすだけ、実例という名のデータがさらに累積されていくわけで、審査の精度は上がっていくのかもしれません。

と、こうして見ると、何かすごく新しいことをやろうとしているように聞こえてくるニュースではあるけれど、実際は、分析のための細かいデータを自動で収集して、内部で累積されているデータベースにそれを当てはめていくことで企業の信用力を格付けするという作業を AI にやらせるということにすぎず、抜本的にはそこまで目新しくもないとも思えます。
タグ :
≪ 前ページへ ≪ トップページへこのページの先頭へ  ≫ 次ページへ ≫