「エルネスト」

 2017-10-15
今年はエルネスト・ゲバラの没後50年だそうです。

誰だそれ、と思った方もいるかもしれないので、説明すると……
チェ・ゲバラという呼び方の方がよく知られている、、あのゲバラです。
アルゼンチンで生まれ、キューバ革命で名を知られ、その後はアフリカのコンゴ、中米のボリビア等で革命活動を行うものの、ボリビア政府軍に襲撃され最後は銃殺ということになった男。
その共産主義思想に共鳴してはいないのでしょうが、彼の肖像がデザインされたTシャツなどの衣類をファッションとして着用している人を、よく見かけますよね。

そんな年に、日本とキューバの合作作品として公開されることになった映画が、『エルネスト』。
このタイトルだけ見るとゲバラのことを描く映画なのかと思ってしまいますよね。
しかし、実際はそうではありません。
これは、ボリビア革命でゲバラと共にあった日系人のフレディー前村を主人公にして、そのキューバでの医大生時代の日々を描く、まさしく青春映画と言える作品になっていました。

なお、事前の宣伝活動だと、キューバ革命かボリビア革命の闘いの日々でも描いている映画なのではないかとついつい思ってしまうのですけれども、それは間違い。
実際には、東西冷戦下で緊張の高まる中南米で、ハバナの医科大学に留学したボリビアの若者が、仲間だったり好きな女性だったりと過ごす日々にフォーカスした物語です。
つまり、あの宣伝方針は誤解を生むだけで失敗なのではないかと思ってしまいます。
逆効果なんじゃないかな、あれ。

後は、全体的な物語のバランスがちょっと微妙なのも、問題です。
例えば、プロローグとエピローグの広島でのシーンが本筋と今一つ融合できていないで浮いていたり、物語にメリハリが欠けていたりしたのは残念で、そういうところが無ければもっと面白かったのに、青春モノとしていい感じな要素はあるのだから、そこが上手くできていればな、というのは、かなり残念でした。

主演のオダギリジョーの熱演は素晴らしいですし、ハバナの映像は美しかったのですけれど、総じて「惜しいな」としか言えない作品だったかと。


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「スーパーカブ」第2巻

 2017-10-14
ちょっと前に紹介した第1巻同様、ホンダ・スーパーカブ総生産1億台記念作という文字が帯に掲げられている、トネ・コーケンの『スーパー・カブ』第2巻。

非常に短い章を重ねて行くという構成は変わらず、例えばこの第2巻はおよそ250ページに44の章立てとなっていますので、平均すると1つ辺り5.6ページという計算になります。
もっとも、各章は完全に独立したエピソードになっているわけではなくて、わりと連続した内容になっていますし、この第2巻全体を通じて大きな1つのエピソードだとも言える構造ですから、単純にショートショート集と考えるのは間違いでしょう。
その一方で、短いエピソードの積み重ねであることから、ストーリーにしろキャラクターにしろ、色々と深く掘り下げるようなことはされていません。
この辺りは、何に重きを置いている作品なのかということなので、このスタイルが合うか合わないか、読む側の好みの問題になると思います。

主人公である天涯孤独の女子高生、小熊がカブに出会い、自分の世界が広がっていくことを感じるという成長譚だった第1巻。
その延長であるこの第2巻は、山梨県の北杜市、韮崎市、甲府市という地域で、株に寄って繋がっている2人の女子高生の、真冬のカブライフ+アルファ、という感じの内容で、今回も楽しませてもらいました。
なお、新キャラがいることが良い方向に働いたかどうかは……これだけでは、何とも判断しかねるところです。
シリーズ3冊目でも出れば、そこははっきりしてくるでしょう。

ちなみに、角川の小説投稿サイトカクヨムで以前に発表されていた第2章は「大学生編」とタイトルを変え、その前に、今回のこれが「第2章」として入ることになった模様。
そして、現在は、高校時代の第3章が、発表され始めています。
今回の売れ行きが良ければ、そちらも文庫化されるだろうと思われますし、ちょっとワクワクしながら待ちたいと思います。



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パリ~トゥール2017 は トレンティン

 2017-10-11
本場ヨーロッパにおける自転車ロードレース、ワンデイクラシックの最後を飾るのが、史上3番目に古い歴史を誇る伝統のレース、パリの近郊から古城で知られるロワール川沿いにトゥールの町中まで走る、パリ~トゥールです。

競技場等で行われる競技ではなく、街から街へと一般道を走るロードレース。
ですので、完全に平坦なコースは現実問題としてあり得ないわけですが、それでもそのコース特性故に「ド平坦」と言っていいくらいにアップダウンが少ないが故に、スプリンターが大活躍をする傾向が強く、スプリンターズクラシックとも呼ばれるこのレース。
つまり、アタックからの逃げ切りか、さもなくばゴール前の集団スプリントで勝負が決まることが多いのです。

さて、そんなパリ~トゥールの今年のレースは一体どのような感じになったのかというと……
今年は、ゴール少し手前で連続する丘で集団から抜け出した少数の選手による逃げ切りパターンとなりました。
勝負を制したのは一昨年のチャンピオンである、クイックステップ・フロアーズのマッテオ・トレンティン。
本来クイックステップ・フロアーズにおいてこのレースのエースとして出走した昨年勝者のフェルナンド・ガビリアが、途中の落車で遅れてしまったのですが、それを受けた作戦変更がズバリ的中した感じです。
といっても、その場で急遽作戦変更をしたというのではなく、おそらくガリビアにトラブルがあった時の、「こうなったらこうする」という対応策はレース前ミーティングで確認していたはず。
つまりクイックステップ・フロアーズは今回も、(ベストでは無かったにせよ)作戦を的中させて結果を手にし、最強の曲者集団の二つ名通りの走りをしたというわけですね。


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お台場の一角獣

 2017-10-09
ちょっとここに書くのが遅くなりましたが、今月頭の10月1日は雲の無い晴天でしたので、その好天に誘われてふらふらとアパートから、港区のお台場まで出かけてきました。
目的は、その前の週から公開されたユニコーンガンダム。
以前は、ファーストガンダムの実物大像が展示されていた、Diver City TOKYO 前の広場に新たに設置された、アレです。

全身が映っているものと顔がアップになったもの、それと、角度を変えたものを2枚の、計6枚の画像を貼ります。
話題の変形は、さすがに実物大で据え置きという性格上、設定どおりの完全変形とは行かないわけですけれども、それでも最低限のツボは押さえている、という感じ。

ガンプラ世代の私は、もともとこういうのにはひどく弱いのですけれども……
そうでない人でも十分以上に楽しめると思いますので、もしもお台場に行く用事があるという場合には、是非、ユニコーン実物大立像を見物してみることをお勧めいたします。
そして時間が合えば、デストロイモードへの変形も。

正直、ファーストガンダムの後はユニコーンの実物大がお台場に設置される、と聞いた時には、何でユニコーンなのか釈然としないものを感じたりもしましたが、こうして実物を目にすると、うん、やっぱり、格好いいですね。
白い機体が、青空に良く映えています。



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「横浜駅SF 全国版」

 2017-10-07
今年の5月末に「本館」の「読む」に掲載した作品の続編である、柞刈湯葉の『横浜駅SF 全国版』を読了。

続編、という扱いで紹介しましたが、実際的には外伝集というか、サブエピソード集といった方がいいかもしれないような内容になっています。
ここに収録されているのは、「瀬戸内・京都編」「群馬編」「熊本編」「岩手編」の4編で、その全編を貫く軸になるものが「プロローグ」で語られていますので、言い方としては、連作短編、と呼ぶのが正しい、かな。
第1作に出てきたキャラクターも登場して、そこでは触れられなかった謎の部分への言及もありますから、そういう意味では「続編」というのも間違いではありません。
更に、この「全国版」を読んだことで新たに生じる疑問などもあったりするので、これは、作者には是非、『横浜駅SF』を、最低でも、もう1冊は書いてほしいものです。

世界観のイメージは、相変わらず秀逸ですし、田中達之のイラストも作品の雰囲気にはピタリとハマっています。
どこかアイロニカルな文体は、本作には合っているということもあって、今回も非常に楽しく読ませていただきました。

無限に自己増殖を続ける横浜駅が本州のほぼ全てを覆い尽くして「横浜駅化」しており、北海道、四国、九州が横浜駅の侵入を防ぐべく抗戦を続けている、という本作の世界観。
これは、横浜駅が開業以来常にどこかしら工事が行われていることから、永遠に完成しない駅として「日本のサグラダファミリア」とも呼ばれている(工事が始まったのはサグラダファミリアよりも横浜駅の方が先だから、あちらを「スペインの横浜駅」と呼ぶべきだという主張もあり)事実を知っていると、余計に、ネタ小説としか思えなかったりもするくらいです。
しかし、小ネタの仕込まれたディティールが、冗談で終わらずに設定からしっかりと作り込まれていることが分かってくるにつれて、おお、これは意外としっかりと「SF」をやっているではないか、と唸らされるようになってくるのが、本作のいいところ。

どうせ一発ネタのウケ狙いなんだろうと決めつけたりせずに、是非一度、手にとってお読みいただくことを、お勧めします。


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