「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」

 2017-08-22
もともとは1993年にTV放送され、後に映画にもなった岩井俊二のドラマを、何故か今になってアニメ化したという 『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』 を観てきました。
ドラマ版は未見で行ったので、余計な前知識抜きだったというのは、良かったと思います。

で、肝心要の、今回のアニメ版ですが……
うーん、やりたいことは分からなくもないのですけれど、しかし、これは微妙な。
まずのっけから、ストーリーそっちのけで気になってしまったのが、渡辺明夫のキャラクターデザイン。
いや、基本的には、彼の画は嫌いじゃないんですよ。というか、わりと好きな方のデザインであると言ってしまってもいいかもしれないくらいなのですけれど、それと、作品に合っているかいないかは、別問題。
今どき、いわゆる旧スクなのもどうかと思うし、何より、制服のスカート、あれは、無いなぁ。
作品の内容が内容なのだから、そういうところは、(主人公たちの通う中学校の校舎のデザインも含め)リアリティーを持たせて、いかにもそこにありそうな、ありふれた普通のデザインにしておいた方が、ずっと良かったように思います。
ああいう、いかにもアニメ的(それも萌え系)な制服を持ち出されても、率直に言わせていただいて、それは興醒めなだけでした。

ストーリーについては、可も無し不可も無し、かな。
宣伝方法がアレだったので、『君の名は』 的なものを求めて観に来た人も相当数いたようであり、上映終了後に「訳が分からない」などの不満の声も聞こえたのですが、私はもとからそういうものだと思って観に行っていたから、ループものの時間テーマであり、夏の夜の少年少女のちょっとした逃避行(当然、失敗前提です)の作品だと分かっていたので、問題なし。
全く明瞭ではない、そこはご自分でお考え下さい、という終わり方への批判も多いようですが、むしろ、こういう題材で、こういう展開の物語であれば、こういうラストにした方が完成度は高まるだろうな、というのが、私の意見。
主役2人の声の演技は……端的に評して、いいかげん、こういうのに俳優を起用するのはやめないかな、という感じ。
ダメダメだったとは言いませんが、ところどころに、拭い切れない違和感がありました。

基本的に、ちょとマニアックな方向に行っている映画なのを、マスにウケる作品のように宣伝しているのが、この作品にとってはむしろ致命的なミスになるんじゃないかと、そんなことを思ってしまった1本です。

個人的には、こういうのも、嫌いじゃないけれど、例えば夏休みの親子連れとか、彼女連れの一般客とか、エンタメ系作品が好きなアニメファンとか、そういう層に向けた作品じゃないでしょ、これは。


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「恋するタイムマシン 穂瑞沙羅華の課外活動」

 2017-08-19
ハルキ文庫から出ている機本伸司の『恋するタイムマシン』は、「穂瑞沙羅華の課外活動」シリーズの4冊目。
これを、「穂瑞沙羅華の登場してくる小説」という条件に変えてカウントするならば、デビュー作の『神様のパズル』も含めて5冊目。
スピンオフ的作品の『神様のパラドックス』は、穂瑞沙羅華が直接的に活躍する話では無いですが、これも含めると6冊目、ということになります。

キャラクター造形の偏り……というか、作者の好みなのかもしれませんけれども、これはちょっと実際にはいないだろうというようなタイプ、感情のあまり感じられない会話文というような、私が機本作品に常々感じている違和感というか欠点は、今回も同じ。
まぁ、それもこのシリーズに限って言えば、穂瑞沙羅華というヒロインがそもそもそういう風になってしかるべき生まれ育ちを持っているキャラなので、そこにあまり違和感を感じないでいられるのですけれど。

さて、今回の『恋するタイムマシン』ですけれども、扱っている題材は、まぁ、タイトルにそのまま表れていますね。
量子コンピュータの開発者である天才女子高生の穂瑞沙羅華が営むコンサルタント業への依頼は、両備という若き研究者がダークマターの研究を隠れ蓑にして進めようとしている、ワームホールを使ったタイムマシン開発を、何とかして断念させてほしいというもの。
そこに、理論物理学の天才でありながら、いやむしろ、早熟の天才であるが故に、人の心の機微が分からない沙羅華が、自分では理解できない「愛」というものについて頭をひねる展開を加えて、いつも彼女に振り回されている主人公の綿貫との関係にも、少しの進捗が出てくるという内容です。
これまでシリーズをずっと読んできた身には、なかなか嬉しいというか、楽しめる作品になっていたと思います。

正直、文系人間な私には、専門的な記述部分は、10の内の半分くらいしか理解できていないのですが、そこは雰囲気で読み流せば問題ありません。
このシリーズは今年5月に最新刊にして最終巻が発売されているので、それも、早めに読み始めるとしましょう。



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ブエルタが始まります

 2017-08-17
気が付けば、2017年の自転車ロードレースシーズンも終盤に突入しようかというところですよね。
この間、春のクラシックだの何だのと言っていた気もするのに、いつの間にやらツールも終わってしまって、本当に、月日が過ぎるのは、早いものです。

今週末からは、いよいよ、3大ツールの最後を飾る大会、3週間、全21ステージでイベリア半島を巡る、ブエルタ・ア・エスパーニャも始まります。
7月のツール・ド・フランスを制したチーム・スカイのクリストファー・フルームが、このブエルタにダブル・ツールを狙って出場してくるというのは、もしかしたら今年の大会のメインとなる話題の1つ。
その他にも、私にとって長らくかなりのスター選手の1人だった、トレック・セガフレードのアルベルト・コンタドールが、これを最後に引退を宣言している、というのもありますね。
以前にも、引退するといってレースを走った後に、やはり現役を続けることにした、等、今度こそ本当にこれで引退することを宣言していたり、ちょっとお騒がせなところもあるここ数年でしたけど、今度は、本当にこれで引退っぽいです。
また、一度はメンバー選抜から外れたロット・ソウダルのアダム・ハンセンが、チームメイトの負傷により、19大会連続のグラン・ツール出場を決めたりと、それなりに大きな話題のある今年のブエルタ。

昨年チャンピオンのナイロ・キンタナの不在や、そのチームメイトでグラン・ツールのエースを張れるアレハンドロ・バルベルデも出走しないなど、ブエルタにいて欲しい役者が揃っていないという感はいかにも否めないのですけれど……
しかし、こういう時には新たなる選手が大躍進して思わぬ活躍をしてくれたりもするものですし、レースの構成的には、もしかしたらグラン・ツールで一番面白いのではないか、というのがブエルタです。
きっと、今年も素晴らしい戦いを見せてくれることでしょう。


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アークティック・レース・オブ・ノルウェー 2017

 2017-08-14
北欧はノルウェーで行われる4日間のステージレースが、アークティック・レース・オブ・ノルウェー。
その全日程を、J-Sports が始めて中継放送してくれました。

これは2013年から始まった大会なので、この2017年は、まだ第5回大会。
つまり、まだまだ歴史は浅いのですけれども、それと、観戦して楽しいかどうかは、もちろん別問題ですよね。
「北極」を大会名に冠し、スカンジナビナ半島のフィヨルド等の雄大な自然の中を走るこのレースは、単純にその映像を眺めているだけでも、視覚的に非常に楽しいものだと言えましょう。

運営は、ツール・ド・フランスと同じASOなので、基本、レースの進行や中継放送の内容等は、ノウハウをいっぱい持っているだけに、安心して観ていられますしね。

なお、今大会で総合優勝したのはベルギー人の若手、BMCレーシング所属のディラン・テウンスです。
まだ25歳という年齢ながら、ここのところ調子をすこぶる上げていて、大きなステージレースの、ステージと総合で立て続けに勝っている選手です。
今回は、総合だけでなく、ポイント賞と新人賞の2枚の特別賞ジャージも、その手にしています。

今大会以前のレースで彼の名前を聞いたことがなかったわけでは無いらしいのですけれども、申し訳ないことに、私の記憶に残っていませんでした。
でも、これで覚えましたよ、ディラン・テウンス。
これからのレースでは、もし彼が出走してきていたら、必ず、注目して行きたいと思います。

将来の成長が楽しみな選手がまた1人登場したのは、競技の未来を考えれば明るい事ですよね!


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「モノクロの君に恋をする」

 2017-08-12
都内の名門私立大学を舞台に、世間からのはぐれ者的な、ちょっと、いや、かなり個性的なメンバーが集まったマンガ研究会に入会することになった新入大学生の小川卓巳を主人公にした作品が、坂上秋成の「モノクロの君に恋をする」。
これはつまり、周囲に馴染めなかった過去を持つ男女が織り成す青春小説、ボーイ・ミーツ・ガールな青春小説であり、要するに私の大好物、ということです。

この作者の作品を読むのは今回が初めてですが、なかなかいい感じに青い春を描けているのではないでしょうか。
こういう作品の場合は、いかにして読者に主人公への共感を抱いてもらうかが1つのカギになる、と私は思うのですけれども、その点では、まずまず上手いことできていた、と言ってもいいかもしれません。
ただしこれは、私自身も大学時代に漫研に所属していて(ここまで変人揃いではなかったですけれど)、それなりに大学生活をエンジョイしていたという経験を持っているし、何よりアニメだのマンガだのが好きだということもあるから、その下地があるが故にそう感じることができているのかもしれません。
なので、そういう経験が無い人までがそうなのかは、保証できません。

あとは、アレですね。
最近こういう題材を扱った作品で散見させられるのが、そのストーリーだったり作品性だったりに特に言及することなく、他のマンガ作品のネタを作中に堕してくるというのは、ちょっとまずいんじゃないかな、と思います。
ここで採り上げられている諸作品について、私はそこそこ知識を持っていますから、「ああ、これはそういうことね」と納得することもできますけれど、普段そこまでマンガに親しんでない人とか、リアルタイムではない過去の「名作」にまで手を出して楽しもうというところまで踏み込んでいない人とか、そういう人に対して、もうちょっと親切でもいいかな、と。

まぁ、でも、面白ければそれでOK、なんですけどね、突き詰めてしまえば。
そう考えれば、これはこれでいいとも言えますが、どうせなら、もっと一般への訴求力も強くすればいいのにな、と思うんですよね……。
せっかく基本的な面白さがあるのですから。


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