「沈黙 -サイレンス-」

 2017-01-29
遠藤周作の代表作の1つを、『タクシードライバー』等のマーティン・スコセッシ監督が、原作と出会ってから28年の構想期間を経て映画化した、『沈黙 -サイレンス-』。
以前に観た予告編で興味を覚えていたので、公開から1週間の先週末に劇場に行ってきました。

私は未読なのですけれど、『沈黙』といえば、そもそも原作自体が非常に有名で、その内容も広く知られている作品です。
ですが、それでも、ここで細かい内容を書いてしまうのはいかにも興醒めというものでしょう。
なので、ここでは基本的にそこには触れずに置jこうと思います。
それでも、私同様に原作未読の人もいらっしゃるでしょうから、ここで簡単に触りだけを書いておくとしたならば、江戸時代初期、幕府によるキリシタン弾圧が激しく行われていた長崎で、自分たちの師匠であり、日本で捕えられて棄教したとされる宣教師を追って密入国した2人の宣教師の物語になります。

神とは、信仰とは、罪とは、強さと弱さ、そして、許しとは。
私はクリスマスにケーキを食べ、寺で厄除け祈祷をし、新年や受験前には神社でお祈りをするというような典型的な日本人で、特定の宗教を信じたりはしていない人間なわけですけれども……
それでも、色々と考えさせられずにおれない映画でした。
宗教的な話題はデリケートなことではありますが、この作品で描かれている題材やテーマは、キリスト教に限らないある種の普遍性もあるのではないでしょうか

主演のアンドリュー・ガーフィールドを始め、役者陣の演技も非常に素晴らしくて、個人的にはイッセー尾形と浅野忠信の2人が、とりわけ強い印象を残したと感じました。
また、本作には思わぬ人が結構出演していて、エンドクレジットに PANTA の文字を見つけた時には、かなり驚かされたのですけれども、PANTA、どこに出ていたかな……?
また、主に台湾で撮影したという映像も美しく、極力音楽の主張を排した抑制された演出も作品に合っていて良かったと思います。

2時間40分の上映時間が長く感じない、それだけの力を持った力作です。
宗教題材なので、誰しもが観るべきだとまでは言えませんが、この映画のことを知ってちょっとでも興味を抱いた人であれば、是非、映画館に足を運んで大スクリーンで観るべきです。
それも、できれば、音響のいい映画館で。

ちなみに、720円という昨今では良心的な価格のパンフレットはテキスト主体の堅実な内容で、久しぶりに映画を観た直後に、欲しい、と思って購入してしまいました。


公式サイトは こちら から



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東京>パリ&北京

 2017-01-26
冬の朝はとかく寒くてたまりませんけれども、その一方で空気中に塵が少なくて澄んでいるので、例えば冠雪した富士山の姿が下の写真のように非常にくっきりと見えて、それが嬉しかったりしますよね。
何だかんだ言って、富士山というものに一定の思い入れを抱いてしまうのは、日本人の性でしょうか。
だから、電車の窓でも、街を歩いている時でも、そこに富士山が見えると、気持ちがついついワクワクとしてしまうのを止められません。



そういえば、小学校の頃に丹沢の大山山頂から見た東京都内は、空に一本黒い帯が街を覆うように走っていました。
それはもう、あれは大気汚染が作りだしたものだと、一目ではっきりと目で分かるくらい。
それがいつからか、そんな黒い帯の下だったはずの東京からも、これだけクリアーに富士山の姿が見えるようになったのは、つまり東京の大気が、あの頃に比べると遥かに綺麗になったということです。
原因として考えられるのは、工場や焼却炉の排ガス規制もそうですし、ディーゼル車への規制も大きく働いた結果でしょう。

新銀行東京しかり、築地市場の豊洲移転しかり。
個人的にはあまりいい印象の無い石原都政でしたが、ディーゼル車の規制はそんな政策の中でも、群を抜いて素晴らしい施策だったと思っています。
もしかしたら、唯一のプラス政策かもしれない、というくらいに。

そうして東京の大気が浄化されていく一方で、石炭による暖房や自動車の増加等々により、中国の北京辺りはとんでもないことになっていきましたよね。
PM2.5 の飛散量は、一向に減る気配を見せません。
近代化、工業化の過程で公害が出るというのは、かつて日本も辿ってきた道です。
成長、発展を目指すのであれば、どうしてもそういう過程を経ずには済ませられないのだとしても、これはさすがに酷いなあと感じていたら……

なんと、最近は、近代化や工業化はかなり昔にひと段落ついているはずの、フランスの首都パリにおいても、大気汚染が非常に深刻なことになっているのだとか。
自動車のほとんどがディーゼル車であることとか、旧式の暖炉の仕様や工場の煙などが原因だ、という記事をネットで読みましたけれども、ユーラシア大陸の東と西のどちらともで、似たようなことを原因に似たようなことになってしまっているというのも、何だかなあ。
それが人というものだ、と済ませてしまうのは簡単ですけれども、それではちょっと救いが無さすぎです。
フォルクスワーゲン社がクリーンディーゼル車の排ガス不正を行っていたということが、こういうところにも負の影響を及ぼしているのではないか、と思ったのですが、実際、無関係ではないでしょうね。

10年以上前に私がパリに旅行した時には大気汚染なんて感じは無かったのにと思うと、少々切なくもなってきてしまいます。
在りし日の姿というわけではありませんが、最後に、その際に撮影した2004年秋のパリの空の青さの分かる写真を貼っておきます。
どうせならば、パリの大気汚染を伝えるニュースにしばしば出てくるエッフェル塔が被写体のものにしたかったのですが、青空をバックにした、ちょうど良さげなものがありませんでした。
そこで次点として、モンマルトルの丘にそびえるサクレ・クール大聖堂を写したものを選んでいます。

北京は一度も行ったことが無いのであれですが、私の中のパリのイメージは今もこの青空です。



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天国と地獄

 2017-01-18
築地市場の移転先として工事が完成した豊洲の新市場、これまでにも、間取りがおかしいとか、構造強度がもたないのではないかとか、盛り土が無いとか、色々なことが発生していますよね。
自民都連にしろ都庁幹部職員にしろ、「豊洲への移転」ということだけが目的であって、それ以外のことは関心がない。
例えば、地下空間に溜まった地下水からベンゼンが検出されようが、マグロの解体が仲卸店でできなかろうが、荷物を積んだターレットトラックの重みで床が痛もうが(場合によっては床が抜けてしまおうが)、彼らにはどうでもいいことなのかもしれませんね。
要は、オリンピック前に築地の土地が空くことと、工事を請け負うゼネコンからのキックバックや下請けに入った業者からの献金等が得られればそれでいい、と。
利権、金権がドロドロで嫌気が差しますが、そうとしか思えないような状況が実際にそこにあるのだから、仕方がないです。

そんな豊洲で、昨年末に採取された試料の検査結果が、このところ大きな話題となっていますよね。
最大で環境基準値の79倍に当たる有害物質のベンゼンと、環境基準的には検出された時点で量を問わずにアウトになるシアンが、結構多くの地点で検出されたという、アレです。
まぁ、これについては、そうなるような気がしていたというのが正直な感想。
それにしても出てきた数値があまりにひどいので、過去のサンプリング調査に改竄は無かったのかという疑問まで噴出してきて、いやぁ、これは、収拾がつかなくなってきましたね。
こうなってしまっては、豊洲への移転は完全に白紙に戻すしか無いのではないでしょうか。
既に作ってしまった新市場の建物をどうするのか、という問題もありますけれども、事は既にそういう段階の話ではなくなっているでしょう。

これをして、小池都知事は「進むも地獄、退くも地獄」なんて表現を使っているメディアがありましたけれども、その論調が、何となく責任を彼女に押し付けようとしているようで、それはちょっと違うだろ、と思ってしまいました。
むしろ追及されるべきは、前任者、前々任者、前々々任者の方で、何故、行くところまで行かなければこの事実が発覚しなかったのか、というところこそが、問われるべきでしょ。
小池嫌いのマスコミが印象操作をしようとしている、のかなぁ?

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あけまして、おめでとうございます

 2017-01-01
あけましておめでとうございます。

新しい1年が、また、始まりました。

趣味に走ってばかりのロクでもないブログではありますすけれど、これからも適度に継続して行くつもりなので、今後ともよろしくお願いできましたら、嬉しいです。
新年を祝うという意味を込めまして、今年の1回目のエントリには、富士山の写真を使ってみました。
「本館」の、2012年12月の Top 写真に使ったものと同じ撮影場所、東名自動車道の由比PAから昨年12月に撮影したものです。

やっぱり、富士山は、いいですよね!




さて、この由比ですが、台風などが東海地方に襲来するごとに、道路や鉄道が海が荒れていることを理由として通行止めとなる地点として名が上がるので、何だか聞いたことがある地名だと思う人も多いのではないでしょうか。
実際に訪れてみるとそれも無理は無いなと思わされるのは、東名自動車道も国道1号線も、本当に、駿河湾の真横を通るようなことになっているから。
試しにちょっと Google MAP あたりで調べていただけば、これは、そうなってしまうのも当然だとわかっていただけるでしょう。

そんな由比は、桜エビの漁港としても有名ですよね。
なんと国内での水揚げ量は100%が駿河湾であるという桜エビですが、これは漁業の営業許可を静岡県だけが認めている為。
その許可を有する船も、由比・蒲原・大井川地区という3地区を合計して全部で120隻しかないのだそうです。
加えて、漁期は年2回のみで、春漁が3月中旬~6月初旬、秋漁が10月下旬~12月下旬となっており、それ以外は保護を目的とした休漁期間となっているとか。
つまり、(私もそういう意識で見てきていませんでしたが)ちょっとばかり希少なものだと言えるのかもしれませんね、桜エビって。

昨年のことで恐縮ですが、2016年の12月に、ちょっと清水に出かける用事がありました(上の富士山の写真はその日に撮ったものです)。
で、その際、せっかくだからと帰路は清水からすぐに高速に乗ることはせずに、国道1号線を走って由比の町も合わせて訪れ、旬も終わり間近の桜エビを食してきました。

何も下調べなどをしないで行ったのですけれど、とりあえずJR由比駅前にあるタクシーの案内所で聞いたところ、かき揚げならば漁港の店が一番だということ。
なので早速、漁協が由比漁港の一角に開いている食堂へ。



で、ここで食べたのが、「由比丼セット」です。
釜揚げの桜エビとシラスが乗った由比丼に、桜エビのかき揚げと桜エビの味噌汁という内容で、シンプルな料理ですけれども、これが滅法美味しい。
漁師たちがやっている店だからということ故か、丼の飯の量も多いですし、かき揚げも大きくて、すっかり満腹にならせてもらいました。
これで1,000円というのは、安いですね。
さすがに由比は我がアパートからちょっと距離がありますので、そんなに頻繁に行ける場所では無いのですけれども、是非また訪れて食べたいと思わせる味でした。



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2016年の10冊と10枚

 2016-12-17
今週は、先週と違い、2016年の「10冊と10枚」です。
いつも書いているように、これは、今年「本館」で紹介してきた書籍・CDの中から、これぞ、というものをそれぞれ10ずつを年間のベストとして選んだもの。
通常、この手の企画は年内に発売されたものが選考対象になっているものですけれど、「ぱんたれい」におけるそれは、その点が大きく違う、というわけですね。

そうやって新作・旧作の違いに関係なくリストアップされたものの表紙・ジャケットの写真を、以下に並べてみました。
複数巻で完結した作品の場合は、原則的にその最終巻のものを掲載する、という方針で、掲載順は、単純に、私がそれを「本館」で紹介した日の順番です。

今年は、こんな感じになりました。

<2016年の10冊>

<2016年の10枚>


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