「交響詩篇 エウレカセブン ハイエボリューション1」

 2017-09-19
週末に公開が始まった映画、『交響詩篇 エウレカセブン ハイエボリューション1』を観てきました。
もともとのTVシリーズは2005年の4月から1年間放送されてたので、今から12年前のことになりますよね。
2009年に公開された、TV版の画像を再編集して全くのアナザーストーリーとして構成した、最初の劇場版、『交響詩篇 エウレカセブン ポケットは虹でいっぱい』 からでも、7年。
その間に、続編である『エウレカセブンAO』が2012年にTVシリーズとして放送されたりもしていますが、仮にそこからカウントを始めても、5年も経過しているわけです。

確かに、TVシリーズはすごく面白い、いい話の傑作ではありました。
とはいえ、このタイミングで、しかも3部作で、なぜ今、『交響詩篇 エウレカセブン』 の劇場版なのか、というのは、疑問があります。
また、4クール、全50話(ここでは敢えて「ニューオーダー」は含めないでおきます)もある物語を3本の劇場版にするのは、新作カットも多く加えるらしいとはいえ、さすがに、ただのダイジェスト版になってしまうのではないか、ということも、疑問です。

つまり、その疑問に対する答えを知りたいという気持ちと、懐かしさに誘われて、映画館へと足を運んだのです。

そしてエンドロールを迎えたわけなのですが……。
なる程。
制作側の思っていることとは違うかもしれませんけれども、完全に一見さんを切り捨てている作りの映画ですね、これは。
映画の構成は、前半が新作部分であり、物語の前段であった 「ファースト・サマー・オブ・ラブ」 の、圧倒的にぐりぐりと動き回る美しくも格好良い戦闘シーンで、後半は、主人公であるレントンが、どうしようもない「ガキ」の状態から、大人へと成長する階段を一歩上りだすところまでを描く、という感じ。
TVシリーズの前半部分を大胆にカット&アレンジして、映画を、「チャールズとレイとレントンの物語」としてまとめあげています。
こう来たか!という感じで、なかなかグッとくるものもあったのですが、それでも、これが、TVシリーズを観たことがないような人には、色々と、「何が何だかさっぱり分からない」というところばかりの、説明不足な作品であることは、残念ながら否めません。
もしかしたら、最初から、そういった説明をする気は無かったのかもしれませんが(それをやっていたら、冗長になる上、筋書きを読み上げるだけの映画になってしまいますし)。

「ちょっと、全面的に肯定することはできない作り方だけれども、個人的には結構好きな映画化」というのが、今の時点での、私の偽らざる感想です。
第2部以降も、必ず観よう、と心に誓うくらいに。

ただ、これ、世間的な評価は、かなり厳しくなるんじゃないかな……。
この構成で行こう、とGoサインを出した人は、自分のセンスが一般とはズレているということを真剣に考えた方がいいかも。いや、私は、こういうのも結構好きですけどね。
第2部以降の制作が凍結される、なんていうことにだけはならないよう、願っています。
第2部と第3部が、どのような物語になるのか、私が密かに期待しているように、「エウレカとレントンの物語」「アネモネとドミニクの物語」になるのかは分かりませんけれど、いいものを観させてくれるのではなかろうか、というこの期待感があるだけに、そこが、心配です。
スタッフロールの後に流れた予告は、あれは果たして冗談なのか、本気なのか……?



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「きみの声をとどけたい」

 2017-08-28
2週連続でアニメ映画鑑賞ということになるのですが、この週末に公開が始まった、『きみの声をとどけたい』 を新宿で観てきました。
先週の 『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』 もそうだったのですが、この夏に公開される青春系統のアニメは、とかく、その宣伝に昨年大ヒットした 『君の名は。』 を絡めてくる傾向がありますね……

ちょっとしたブームに乗っかって興行成績を上げようとか、少しでも多くの人に作品を鑑賞してもらおうとか、そういう欲があること自体は、悪いとは思いません。
ただ、傾向、方向性の違う作品の宣伝にまで 『君の名は。』 を絡めると、逆に、(実際の作品の完成度とは無関係に)「思っていたのと全然違う」とか、「詐欺だ」とか、そういうマイナスな評判が拡散されることになりはしないかと、そういう懸念も出てくるのですけれど。
そういうことまでは考えていないのか、それとも、考えているけれども、それでも敢えて 『君の名は。』 の知名度を利用しようというのか、そこは分かりませんけど、宣伝方針として、結構なリスクがあるんじゃないのかなぁ、それって。
口コミの、観客動員数を増やせる効果というのは馬鹿になりませんけど、裏返せばつまり、マイナス方向の口コミもあっという間に広がるってことですからね。

さて、そういう余計な話はさておいて、『きみの声をとどけたい』 です。

これ、誰がどう見たって江ノ電であり江の島であり龍口寺なのですが、架空の名称になっているのは、実際の地形、実際の線路といったものを忠実にトレースしているわけでは無くて、結構ちょこちょこと改変しているから、なんでしょうね。
例えば、物語の舞台になる閉店した喫茶店があるY字交差点は、おそらく「小動」の交差点だと思いますけれど、実際にはあそこの江ノ電は路面ではなくて、ちょっと内側に入ったところを走ってますし、それ以外にも、現実の江の島近辺と違っている点は、挙げようと思えば幾つもあります。
つまり、本作に関しては、その舞台は、江の島っぽいどこか、という程度で認識していればOK、ということになります。
そこが、特に物語に大きく関係してきたりするわけではありませんし、まぁ、特に問題は無いでしょう。

青木俊直のキャラクターデザインはシンプルすぎて劇場のスクリーンではどうなるかなと、ちょっと不安も覚えつつ観始めた映画でしたが、その点は、まぁ、わりとすぐに、しっくりと馴染んだので大丈夫。
前半で何だかなぁと感じたのは、(そうでなければ物語が回らないのだろうけれど)主人公が、あまりに押し付けがましくポジティブなので、そこがイラっときたというところ。
あと、いくら鍵が開いていたからといって、勝手に建造物の中に入って、そこにあったレコードを勝手に聴いて、そこにあった機材をいじる、という暴挙に出た主人公は、もっともっと激しく責められてしかるべきだし、あんな謝罪は、謝罪ではありません。
上映時間を考えれば、そういうことまで丁寧に描いてなどいられないという事情は察せられなくもありませんが、例え主人公であっても、犯罪行為には、厳しい罰が与えられるべきです。

結局、最後までそこで感じた違和感と、主人公への忌避感を引きずって観てしまったのが、私にとって、この作品の不幸だと言えるのでしょう。
キャラクターでいうと、ラジオ放送に遅れて加わることになる2人組も、物語上は結構重要なポジションではあるのですけれども、なんでこういう性格の人間が急に現れて、そこで大なり小なりの衝突が起きないのかが、分からなかったです。
喧嘩が発生するのが普通だと言いたいわけでは、ありませんが、主人公はともかくとしても、主人公の友人で同じ部活の次期部長であるキャラとは、一度くらいは衝突がなければ馴染まないタイプなんじゃないの、と思わずにおれないんですが……

全体的に、キャラもストーリーも善意が押しつけがましいと感じられて、かつ、こういう場合、歌を歌わせておけばOKでしょ、というような展開になったのも、個人的には興醒め。
ただ、公式サイトで評判を見ると、私が「何だかなぁ」と感じたところを絶賛している声が(そういうのを選抜して掲載しているとしても)多くて、みんな素直だなぁ、と、ひねくれてしまった我が身を振り返ることにもなってしまいました。

結論、丁寧に作られているなとは思いましたが、最後まで、波長が合わなかった映画だった、というのが、全て、かなぁ。


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「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」

 2017-08-22
もともとは1993年にTV放送され、後に映画にもなった岩井俊二のドラマを、何故か今になってアニメ化したという 『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』 を観てきました。
ドラマ版は未見で行ったので、余計な前知識抜きだったというのは、良かったと思います。

で、肝心要の、今回のアニメ版ですが……
うーん、やりたいことは分からなくもないのですけれど、しかし、これは微妙な。
まずのっけから、ストーリーそっちのけで気になってしまったのが、渡辺明夫のキャラクターデザイン。
いや、基本的には、彼の画は嫌いじゃないんですよ。というか、わりと好きな方のデザインであると言ってしまってもいいかもしれないくらいなのですけれど、それと、作品に合っているかいないかは、別問題。
今どき、いわゆる旧スクなのもどうかと思うし、何より、制服のスカート、あれは、無いなぁ。
作品の内容が内容なのだから、そういうところは、(主人公たちの通う中学校の校舎のデザインも含め)リアリティーを持たせて、いかにもそこにありそうな、ありふれた普通のデザインにしておいた方が、ずっと良かったように思います。
ああいう、いかにもアニメ的(それも萌え系)な制服を持ち出されても、率直に言わせていただいて、それは興醒めなだけでした。

ストーリーについては、可も無し不可も無し、かな。
宣伝方法がアレだったので、『君の名は』 的なものを求めて観に来た人も相当数いたようであり、上映終了後に「訳が分からない」などの不満の声も聞こえたのですが、私はもとからそういうものだと思って観に行っていたから、ループものの時間テーマであり、夏の夜の少年少女のちょっとした逃避行(当然、失敗前提です)の作品だと分かっていたので、問題なし。
全く明瞭ではない、そこはご自分でお考え下さい、という終わり方への批判も多いようですが、むしろ、こういう題材で、こういう展開の物語であれば、こういうラストにした方が完成度は高まるだろうな、というのが、私の意見。
主役2人の声の演技は……端的に評して、いいかげん、こういうのに俳優を起用するのはやめないかな、という感じ。
ダメダメだったとは言いませんが、ところどころに、拭い切れない違和感がありました。

基本的に、ちょとマニアックな方向に行っている映画なのを、マスにウケる作品のように宣伝しているのが、この作品にとってはむしろ致命的なミスになるんじゃないかと、そんなことを思ってしまった1本です。

個人的には、こういうのも、嫌いじゃないけれど、例えば夏休みの親子連れとか、彼女連れの一般客とか、エンタメ系作品が好きなアニメファンとか、そういう層に向けた作品じゃないでしょ、これは。


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2017年 夏クール 放送開始 雑感 その2

 2017-07-20
この7月、つまり、2017年夏クールに放送が始まったアニメ新番組の簡単な感想、今回は、その第2弾になります。
これで、今期の新作については、私が視聴してみたものは一通り感想を書いたことになる、かなぁ。

1) セントールの悩み

原作は、萌え路線の日常系作品と見せかけて、実は背景にかなりシリアスでポリティカルなネタを隠している所が特徴なわけですが、さて、このアニメでそちらの方向は、どこまでやるつもりなのでしょう。
ひたすら萌えを追及するというのでも、それはそれでアニメ化としてはアリなように感じられますけれど、『セントールの悩み』 といえば、形態差別とか、種族差別、種族間紛争といった要素あってこそ、とも思うので、そこはやはり、このアニメでもある程度しっかりと描いておいてほしいんですよね。
そういう、ダークなところがあるのが、魅力なわけですし。

2) プリンセス・プリンシパル

『セントールの悩み』とは逆に、思っていたよりハードだったのが、こちらの作品。
最初に新番組情報でキャラデザインとストーリーのアウトラインを観た時には、これは、あまり私の好きな方向には行ってくれないかもしれないな、とも思ったのですけれども、蓋をあけてみたら、いやいや、これは、いいですね。
この作品の場合は、どこまでハードに行けるか、どこまでシビアに行けるか、が勝負どころになりそうな気します。
出だしの掴みは、ものすごくいい感じでした。

3) ボールルームへようこそ

原作の雰囲気を、比較的再現できていた、かな……?
多々良 は、もっと情けない声のイメージでしたけれども、まあ、でも、今回のこのアニメくらいの感じが、ちょうどいいのかもしれません。
原作のどの辺までのアニメ化がされるのか、それは調べていないのですけれど、ちーちゃん は、出てくる、んですよね……?
彼女の存在も、この作品にとっては大きいと思いますし。

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2017年 夏クール 放送開始 雑感

 2017-07-18
今年も夏クールの新番組が放送を開始していますので、その簡単な感想を、いつものように書いてみます。
掲載順は、例によって視聴順であり、そこに特に含みはありません。

1) 異世界食堂

異世界モノの中の、よくあるパターンの作品のアニメ化。
どの作品が元祖なのかとか、そういうのは調べていないのですけれども、結局のところ、そこにあまりこだわっても仕方が無くて、その作品が単体で面白ければ、それでいいのではないかという考えも成り立ちますね……
で、この 「異世界食堂」 なのですけれども、とりあえず、雰囲気がそれなりに作れていたのではないでしょうか。
雰囲気だけで、そこにプラスアルファがあるわけではない、というのが第1話、第2話の感想なので、これだけだとちょっと厳しいかな、という感じなのですが、そこが今後どうなるのか、が勝負でしょうか。

2) メイドインアビス

雰囲気という点では、こちらは満点。
こちらの問題、というか不安点は、このクオリティーをきちんと最後まで保っていられるかどうか、というところ。
それと、原作が連載継続中ですから、物語が最後まで描かれない、ということが確定的なのが、個人的には、もったいなぁと思っています。
個人的には、このスタッフ、そのクオリティーで、『ハクメイとミコチ』辺りもアニメ化してもらいたいな、なんてことも思ってしまいました。
結構、先が楽しみな作品だと考えています。

3) 将国のアルタイル

うーん。期待していたようには、ピンと来ない第1話でした。
神聖ローマ帝国とかオスマントルコとか、その辺りがモデルになっているのだろうなということで、王朝の興亡ネタが好きな私としては、大河ドラマ的なものが観られるのではないか、というように思っていたのですが、少なくとも出だしでは、そんな風では無かった、かなぁ。
舞台設定とか、キャラ配置とか、大きなドラマになりそうな要素は揃っているのだけれど、今一つ、とっかかり部分に魅力が足りないと言えば、分かりやすいでしょうか。
もうちょっと視聴は続けますが、その辺り、盛り返せるかどうか……。

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