「メアリと魔女の花」

 2017-07-16
基本、ジブリの新作を映画館に観に行く、ということからはすっかり遠ざかっていた私ですが、先週末に公開が始まった 『メアリと魔女の花』 については、久しぶりに、劇場のスクリーンで観てみようかなと思いました。

いや、同作が、色々な意味でジブリ作品では無い、ということは、知っています。
スタジオポノック第1作、という表現を使う方が妥当だということは、言うまでも無いことでしょう。
そこには、宮崎駿も、高畠勲も、いないのですから。

しかし、ポノックは、そしてこの 『メアリと魔女の花』 は、誰がどう見たってジブリの系譜がそのまま繋がっている作品であり、その意味では、ジブリの新作と言ってしまっても過言では無い……かどうかは分かりませんが、このスタジオ、この監督、このスタッフ、そしてこの作品を語る時に、ジブリのことを抜きにはできないでしょう。
で、ジブリ系統の作品で、かつ、別作品ででかけた映画館で予告編を観た限りでは、実は、この作品にはあまり触手が動いていませんでした。
どうせ、いつもジブリテイストだろうし、1年もすればTV放送されるだろうから、その時でも別にいいんじゃないか、とか、いっそ、TV放送もどうでもいいかなぁ、というくらいに、関心が薄かったんですよね。
そんな私が、それでも重い腰を上げた理由は簡単かつ単純。
ジブリの制作部門が閉鎖されて、その後の道を模索する中で、ならば自分たちで新たなスタジオを立ち上げて新作を作ってやろうじゃないか、という気概を応援してあげたいな、と感じたからに、他なりません。
やっぱり、チャレンジャーの背中は、少しでも後押ししたくなるじゃないですか(突き落としたくなる、というわけでは無いですよ、もちろん)。

そんな感じで、観に行った 『メアリと魔女の花』。

王道の作品、でした。
物語もシナリオも、後期ジブリ作品っぽいなぁ、という印象が強かったのは、まぁ、実質的にジブリの後継者であるポノックの作品なので、当然と言えば当然のこと。
『借りぐらしのアリエッティ』 も 『思い出のマーニー』 も、どちらもあまりちゃんとは観ていないのでアレですが、出てくるキャラクターの瞳が、(かなりの老人のものも含めて) 妙にキラキラしているのに、違和感というか、ちょっとした気持ち悪さみたいなものを感じてしまったのは、もしや、米林監督の絵柄、なのかなぁ……?
一部、演出がオーバーで鼻についたのも、個人的にはマイナス点だと思います。

しかし、全体としては、丁寧にしっかりと作った、正統派なアニメ映画、ということになるでしょうか。
ジブリが好きだった人であれば、観て損はしない、いい作品ではないでしょうか。

もっとも、後期ジブリの、良いところも悪いところも、そのまま受け継いでいるのは、フレッシュさは無いですし、今後もそれで行くつもりなのかどうか、宮崎駿のコピーから脱するつもりがあるのか、無いのか、は、大いに気になるところですが。



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最低野郎たちの物語

 2017-07-06
前回のエントリーで、この6月に放送を終えた番組の簡単な感想を書きましたが、実は、あそこでは採り上げなかった番組に、もしかしたら一番、毎週の放送を楽しみにしていたかもしれない、というものがあります。

それが、TVK(テレビ神奈川)で再放送をしていた、『装甲騎兵ボトムズ』。

確かに、今見ると、色々と古臭いところもありますが……
これが、抜群に面白い。
1クールや2クールで終わってしまう番組を見慣れてしまっている状態で、4クールをかけてじっくりと物語を描いている作品は、かなり新鮮でした。
一見、無駄に見えるようなエピソードも、実際物語の本筋にはほとんど関係がないシーンも、こうして改めて最初から最後までを再見してみると、作品を豊かにし、キャラクターを掘り下げるのに非常に効果的だったなぁ、ということに気が付かされます。

やっぱり、たまにはこういう、1年を費やしてじっくりとストーリーを紡ぐような作品があってほしいなぁ。
それも、できれば、かなり渋めのものが。

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2017春クール 最終回 雑感

 2017-07-05
番組改編期がやってきました。
いつものように、この時期は、放送が終了した番組の簡単な感想を、最終回を観た順番に書いていきたいと思います。

1) 有頂天家族2

原作ではラストシーンが弁天様と矢三郎の会話でしたが、アニメ版は、矢一郎と玉欄の結婚式、二代目と矢三郎の会話、そして海星と矢三郎と狸谷山不動のおばあ様との会話で終了。
原作の、ちょっと寂寥感の残るラストも大好きだったのですが、これはこれで、後味がすっきり爽やかで満ち足りた感じになって、良いですね。
二代目との会話の、私の一番好きなところが省略されていたのは、ちょっと残念ですが。
三部作の完結編も、こうなるとアニメが非常に楽しみになってくるのですけれども、何しろまだその部分の原作自体が書かれていないので、無事にアニメ化が成るとしても、まだまだ当分先、になってしまうのでしょうね……。
第1作目もそうでしたが、今回のこれも、実に素晴らしいアニメになっていたので、もしも第3部が刊行された暁には、是非とも、このままのスタッフでアニメ化してほしいものです。

2) ID-0

なかなか良いSF作品でした。
個人的には、もう少し物語展開にダイナミズムが感じられてもいいのかなとも思いましたが、でも、1クールであれば、こんなもの、かもしれません。
オリジナルな設定、ガジェットについての説明もしっかりできていましたし、短い中に上手く話がまとまっていたのは、実に好印象でした。
演出も、渋めにまとめられていて、作品の傾向と合っていましたし、これぞプロの仕事、という感じですね。

3) リトルウィッチアカデミア

名作アニメシリーズなどを担当していた島田満がシリーズ構成、メインライターをやっていただけあって、安定して、いい話を見せてもらいました。
最初のOVA、劇場版ときてTVシリーズと、順調にグレードアップ(?)してきた作品も、これを以って、とりあえずの結末を迎えたことになるわけですね。
ラストのミサイル云々は、ちょっとリトルウィッチアカデミアの作品世界には合わないような気がしないでもありませんでしたが……
なかなかベタな展開がツボにはまる、いい最終回になったと思います。
これは是非、第2シーズンとか、期待したいところです。

4) 月がきれい

最後まで、見ているとむず痒くなってくるようなピュアさが続いた作品でした。
それが悪いというわけでは無くて、むしろ、そここそが良い、というように感じられる、今どき、かえって新鮮で、大いに楽しませてもらいました。
何より、悲恋になったりせず、2人の恋がそのまま続いていることが描かれたエンディングは、気持ちいい余韻をもたらしてくれたと思います。
こういう作品が定期的に制作されると嬉しいなと思うのは、私が個人的に、こういうベタでピュアな恋愛を丁寧に描いたモノが、昔から結構な好物だからなのですが、今作が評判がかなり良かったことで、企画が通りやすくなったというのはあるでしょうし、ちょっと、その辺を期待してもいいのかな?

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「BLAME!」

 2017-05-24
全面的にCGを導入したアニメ作品については、その日本における導入期の違和感の印象が強くて、何となくの苦手意識がありました。
しかし、ここ数年の技術の進歩により、アクションにしても顔の表情や動きにしても、あまり違和感を感じさせないようなものが作られるようにもなってきていますし(それでも、まだ、違和感バリバリの作品はあるのですが……その辺りは、予算の関係もあるのでしょうね)、アレルギー的な拒否感は、かなり薄れてきています。
それでも、実のところ、当初は観に行こうという気がほとんど湧いてこなかった作品が、あります。

それが、弐瓶勉のマンガを劇場作品として仕上げた、『BLAME!』。
SF作品ですし、かなり渋めに、硬派に作られているようですから、好みか好みでないかで言えば、間違いなく私の大好物。
なので、普通であれば間違いなく、確実に、映画館に足を運ぶところなのですけれど、そこで前述のCG作画に対する抵抗感というものが、出てくるわけです。
TVシリーズとして製作された作品をその放送時に、基本、電気代以外はタダである状態で観るのと、出費を伴って映画館まで行く、というのとでは、やはり、事情は違いますからね。

そんな私を、強烈に後押しし、こいつはやはり映画館に行かなければいけないか、と思わせた要素は、大きく2つあります。

1つ目が、早川書房が出した、『BLAME!』のアンソロジー本の存在。
ここには、私がその著作を追いかけている 小川一水 が手掛けた作品が収録されていて、それを読みたい、読もうというのであれば、やはり、原作に対する知識は無ければだめだろうと考えたから。

2つ目が、劇場版のノベライズを、これもまた、私が著作を追いかけている作家である 冲方丁 が手掛けているということ。
ならば、冲方版のノベライズを読んで、それからアンソロジーを読めばそれでOKなのではないか、という考えもあるのですけれども、ノベライズを楽しむ前提に、映画を観ておくことは、必須条件とまではいかないまでも、結構大事なことではないか、と思えたのです。

と、こういうわけで、私は劇場アニメ 『BLAME!』 を観に行くことに決めた次第なのですけれども、この流れで行くのであれば本来ならば、その前に原作マンガを読むべきです。
ただ、それなりのボリュームのある作品ですし、実のところ個人的な事情により、今すぐにそれを読む時間は確保できなさそうであること、そうこうしている内に、映画の公開が始まってしまいそうなことから、ここは敢えて先に映画を観てしまうことに。
せっかくならば音響のいいところで鑑賞したかったので、立川のシネマシティに行ってきました。

増殖する都市、そしてそこから排除される住民、という世界設定は、ついこの間読んでこの「別館」でも紹介したばかりの柞刈湯葉『横浜駅SF』を思い出させますが、時系列的には 『BLAME!』 の方が先に発表されています。
実際、柞刈湯葉自身が『横浜駅SF』について、同作は 『BLAME!』 へのオマージュ、パロディーの色合いが濃い作品であると言及しているので、両者に類似性があって当たり前、と言えますね。
徹底したハードさを描いていた『BLAME!』と、どこかユーモラスだった『横浜駅SF』とでは、受ける印象はかなり違いますけれど。

さて、そんな 『BLAME!』 をジャンル分けするならば、「ディストピアSF」ということになるでしょう。
人類の黄昏、ネット接続機械文明の弱点、などなど、語ろうと思えばかなりのネタを用意できる作品でもありますが、公開が始まったばかりでネタバレは避けたいですし、その辺りの論評は、それを得意としている人に席を譲ります。
1つ言えるのは、全体的にテンションが張り詰めている、シビアな物語の作品であったということ。
逆に、そうやって始終、ギリギリの緊迫感があるが故に、物語の進行がちょっと単調になってしまったところがあるように感じられるのが、いかにももったいないということ。
緩急がつけ切れていない感じ、と書けば、お分かりいただけるでしょうか。
まぁ、気を抜くシーンの入れどころもそんなにありませんでしたし、むしろ構成的にはかなり濃密に詰め込んだ感がありますから、結果、こういう風にしかできない、ということなのかもしれません。
100分程の映画であれば、それでも勢いで突っ走れてしまいますしね。

そういう、ちょっと気になるところはありつつも、これは、かなりの傑作映画だと感じています。
特に、私のようなSF好きには、徹底してツボでありましょう。
上映終了後、即座に原作マンガも読むことを決めましたし、何ならサントラCDも買ってしまおうかというくらいに、気に入りました。

昨年は 『君の名は。』『聲の形』 、そして 『この世界の片隅に』 を始め、アニメ映画がなかなかの豊作でしたけれども、今年もそれに負けず劣らずいい年になるのではないか。
そんなことを、強く感じさせられました。

お勧めの、作品です。



公式サイトはこちらから
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2017年 春クール 新番組 雑感 その2

 2017-04-23
このクールに放送が始まった新番組の、その第1話を観ての簡単な感想、その第2弾を書こうと思います。
すっかり感想を書くのが遅くなってしまった、その理由については、第1弾で書いたとおり。
実のところ、既に第2話を観ている番組も多いのですが、あくまでここに掲載するのは、第1話を観た時点での感想ということで(まぁ、自分でもどうでもいい拘りだとは思いますが)ご了承ください。

1) Re:CREATORS

出だしは、いい感じですね。
ネタとしては、そこまでの新しさは感じない導入ではありましたが、ここから先の展開次第でどうなるのかは、第1話時点では、まだ何とも言えません。
単純なバトルもの的なことになってしまう可能性もありますが、それが悪い、とまでは言いませんけれども、それだと個人的には、少し肩透かしな感じになってしまうかもしれませんが……

2) ID-0

ちょっと地味な感じの始まりを見せた作品で、基本設定も渋めのSFです。
ただ、登場するキャラクターの配置とか、その性格設定は結構ベタな感じでもあるから、エンターテインメント性、画面やストーリーに華があるかどうか、というところは、心配しなくてもいいのかもしれません。
そういう華が無い徹頭徹尾地味な作品も、それはそれで好きですが、TVアニメとして、それはちょっとマズいでしょうしね。
その辺りのバランスをどうとるのか。
あくまでSF的なところでの渋さを無くさずに物語を信仰してほしいものですが、さて、どうなりますか。

3) 有頂天家族2

待ってました、の第2部。
3部作の中間の部分ということで、問題は原作の第3部がまだ、着手もされていないというところですけれども、まぁ、それはそれ。
第1話の冒頭からして、第1シーズンの空気感をそのまま引き継いだテイストなのには、何だか「有難い」ような気分になってしまったりもして、ああ、有頂天家族が返ってきたなぁと、しみじみとなったりもしました。
二代目のキャラデザインや声も、原作を読んで抱いていたイメージとほとんどズレはありませんでしたし、制作サイドの、原作への愛が感じられるアニメ化です、相変わらず。

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