「ももへの手紙」

 2012-04-25
高校時代の友人と待ち合わせして沖浦啓之監督の『ももへの手紙』を観てきました。
2000年に公開された初監督作品『人狼 JIN-ROH』から12年目での第2作ですが、自身の原案・脚本という意味ではこれが処女作と言ってもいいかもしれません。

押井守監督の『イノセンス』での作業が終わった後の、参加予定だったとある企画が流れてから7年間取り組んでいたという、じっくりと時間をかけて製作された意欲作です。

ももへの手紙
映画公式サイトは、こちらから。

『人狼 JIN-ROH』も『イノセンス』もそうでしたが、沖浦啓之といえば、人の顔や服などの塗りに影をほとんど使わないことと、リアルなしぐさや表情にこだわった作画が特徴。
今回の『ももへの手紙』もそれを踏襲していて、映画が始まってそうそう、主人公たち母娘がフェリーで瀬戸内の小島に向かうシーンから、細部の一つ一つまできっちりと計算された画作りが楽しめます。
映画は序盤からかなり淡々と日常を描いていくのですが、そこで描かれる要素の中にはその後の物語に関わってくるものもあります。
セリフで語らないところを表情やしぐさが丹念に描いているのも、いいですね。
アニメでここまでやってくれるのであれば、こちらとしては何も言うことがありません。
こういうのは、ハリウッドで主流になっているようなCG主体のアニメーションではできないことで、手書きの強みが最大限に発揮されているのではないでしょうか。
監督へのインタビューによると、目当てのアニメーターのスケジュールの空きを1年待っていたこともあったらしいのですが、そうしただけのことはある画ができあがってきていると思います。
全体的に地味な印象ですけれど、非常に良質な映画になっていて、これは観て良かった、時間を割いて大正解な作品でした。
(以下、ちょっとしたネタバレなので表示を隠しておきます)
本作は構成的にもかなりきっちりとしていて、主人公の もも が「島の子供」になったことを象徴する経過儀式として、橋からの飛び込みをラストシーンに使ってきたのは、お約束な流れながら、話の締めくくりとしては定番ながら、バッチリはまっています。
藁船の使い方と、その辺りの一連の流れも、いい感じでした。

エンドロールに流れる原由子の主題歌が作品に寄り添うような楽曲だったのが、先に観た作品との良い対比になってしまっていた、かな。
何だかここのところ、小説、TVアニメ、劇場アニメを問わず、物語のラストをどう結ぶかについて考えることが多いような……
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