芸能山城組 「Symphonic Suite AKIRA」

 2009-09-16
初めて映画館で大友克洋監督の『AKIRA』を観た時のあの感動をどう言葉にしたらいいのか、どうすれば伝えられるのか、20年以上が過ぎたというのに、未だに分かりません。
あの色彩、あの動き、2009年の今でもまるで色褪せない映像ですが、これを1988年当時に、しかも劇場の大スクリーンで観てしまった私の衝撃、お察しください。
海外での評価も高いこの映画、音楽も素晴らしいのです。

劇伴担当は芸能山城組。
ガムラン、ケチャ、ねぷた祭、ブルガリアン・ハーモニー、唱名、マントラ、能、レクイエムetc. といった様々な音楽の要素が渾然一体となって織り成す音世界は前述の映像と相まって、作品に独特の確固たる世界観を与えていました。

どの曲をとっても極上で、これは是非とも音源を手元にしておきたいと思った私は、まずサントラと銘打っているアルバムをレンタルしてみたのですが、これが、実は期待とは異なるものでした。
というのも、このアルバム、映画の為に作られた楽曲をそのまま収録したものではなくて、それぞれの楽曲を、映画のイメージで繋ぎ合わせ、そこにSEや劇中のセリフを散りばめた、まさしくサウンドコラージュとでも言うような内容だったのです。
今から考えれば、それはそれで悪くない出来栄えで、なかなか面白いアルバムになっていたと思うのですけれども、純粋に楽曲を聴きたいと欲していた当時の私にとっては、ちょっと求めていたものと違いすぎていて、ひどくがっかりしたのを覚えています。

そういう意味では、これが正しい「AKIRA」の音楽集だ、と言えるかもしれないのが、今回紹介している「Symphonic Suite AKIRA」。
これは、芸能山城組が「AKIRA」の為に作った曲を一つの組曲として構成し、レコーディングしたものなのですが、生半可なコメントは逆に邪魔になってしまうくらいの、作品としての完成度を誇っています。
この迫力、この説得力、それはもう、いっそ恐ろしいくらい。
映画「AKIRA」を観たことが無い、そもそも興味も無い、というような人でも大丈夫。
単体の音楽作品として完全に成立している、とんでもなくクオリティの高いアルバムです。
間違いなく、日本のアニメーション音楽史において、そして映画音楽史において、一つの揺るぎないポジションを築き上げている作品だと思います。

これを聴いたことが無いというのは、ちょっとそれは、音楽人生としては損をしていると断定してもいいくらいです。
私としては最高に素晴らしいと思っているのですが、もちろん、個々人の好みというのがある以上、「これはちょっと違うな」と感じる人も、いらしゃって当然だとは分かっていますが……。
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