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「ファイト・クラブ」

 2020-07-25
若干今更感はありますが、チャック・パラニュークの『ファイト・クラブ』を読んだのは、昨年から百合SF界隈を騒がせている早川書房の編集者、溝口力丸氏が本作を激推ししていることが主たる理由です。
といって、買ってからこうして読むまでに結構なスパンが開いてしまっているのですが、まぁ、それはそれとさせてください。

なお、ブラッド・ピット主演の映画は生憎と観たことが無く、本作については、多くの人に影響を与えたカルト人気を誇る作品だったいうことくらいしか知りませんでした。
だから、そのストーリーも何もかもを知らない状態で、非常に新鮮味のある読書となりました。

ここで、私と同じように本作の内容を知らないという人の為に、公式の粗筋を引用します。

おれを力いっぱい殴ってくれ、とタイラーは言った。事の始まりはぼくの慢性不眠症だ。ちっぽけな仕事と欲しくもない家具の収集に人生を奪われかけていたからだ。ぼくらはファイト・クラブで体を殴り合い、命の痛みを確かめる。タイラーは社会に倦んだ男たちを集め、全米に広がる組織はやがて巨大な騒乱計画へと驀進する―― 人が生きることの病いを高らかに哄笑し、アメリカ中を熱狂させた二十世紀最強のカルト・ロマンス。


うん、生きる意味とは何かを問う作品、ということは分かりますし、実際に読んでみてもそういう作品だったとは思うのですけれども、それにしても、これはかなりクセのある一作でした。
多分、このクセの強さこそが、本作が多くの読者に支持された理由の一端なのでしょうし、映画版もそれを上手く映像化できていて、そういうところに魅力があるんだろうなと思います。
ただ、私個人としては、文体のリズムやテイストに対し、今一つ乗り切れなさを感じてしまい、あまり入り込むことができませんでした。

もちろんこれは翻訳者のクセによりものだという可能性も(悪い翻訳だ、と言いたいわけではありません)ありますが、しかし、おそらくですけれども、これは大元のパラニュークの文体がこういうものだったから、日本語訳もそれに極力雰囲気を合わせてきているのではないかと思われます。
となると、この問題は、やはり彼の文章が私には合わないというところになるのかもしれません。

シーンのみを積み上げていく、その繋ぎとなるような部分は記述しない、という本作のスタイルはアリだとは思いますし、それが実に効果的になってもいて、物語もテーマも刺激的で良い作品だと思いますが、そんなわけで、私にとっては少々微妙な感のある1冊となりました。


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