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「明るい夜に出かけて」

 2020-01-25
久々に読んだ佐藤多佳子作品となったのが、『明るい夜に出かけて』。
いわゆる青春小説が上手い書き手という印象を持っている佐藤多佳子なので、今作もその前提で読み始めたのですが、その期待を裏切らず、なかなかにいい作品でした。

本作の主人公は、大学を休学し、親元を離れて横浜市金沢区でコンビニのバイトをしながら1人暮らしをしている青年。
彼はとある事情で女性に触れられることを極度に拒絶するようになっていて、バイトも、なるべく人が来ない夜間のシフトに入っています。
バイト仲間に対しても不愛想で接触を避ける彼ですが、いつの間にか、Youtube で「歌い手」として活動しているイケメンのバイトリーダーの鹿沢、深夜ラジオのハガキ職人で少しばかりピーキーな性格をしている女子高生の佐古田、高校時代のワケありな友人である永川の3人と交流を深めるようになっていきます。
本作は、その交流を通して主人公が精神的に回復し成長していく様を描く作品だと言っていいでしょう。

実は主人公も深夜ラジオにどっぷりとはまっていて、以前はハガキ職人として活動をしていたのですが、前述の「事情」が関係して投稿を辞めていた、というのが物語の展開上のカギとなっている本作。
大きな特徴は、実在の(既に番組は終わっているので「実在していた」と言うべきかもしれませんが)ラジオ番組、「アルコ&ピースのオールナイトニッポン」(略してアルピーANN)を、主人公と佐古田の2名がお気に入りのラジオとして使っているところです。

私も浪人時代などに深夜ラジオを聞いていたことはありますが、それはオールナイトニッポンではなくて「さだまさしのセイ!ヤング」でした。
なので残念ながら、放送局も違いますし、ちょっとジャンルも異なっています。
しかし、リスナーが投降したネタを司会者が読むという形式は一緒ですから、本作におけいて主人公達が深夜ラジオというものに対して感じていること、思っていることの一部くらいは理解できたつもりです。
町中が静まり返った深夜にラジオを聞くことって、独特の高揚感がありますよね。

世間でいうところの「普通」からはどこか外れてしまった部分を(その登場人物によって程度の違いはありますが)抱えている面々が織り成していく物語は、どこかしら優しくて暖かい肌触りがあります。




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