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「悪魔のトリック」

 2019-12-28
青柳碧人の『悪魔のトリック』は、ちょっと特殊な設定のミステリー。

作品タイトルの「悪魔のトリック」というフレーズから皆さんがどういうものを想像するかということなのですけれども、普通に考えれば、通常の人間であれば思いつかないような、大胆かつ悪辣で残酷非道な驚愕のトリック、緻密で完璧なアリバイといったようなものを指すのではないかと思うのではないでしょうか。
それを、主人公である刑事もしくは探偵が切り崩して真相を明らかにする、というような作品なのだろうなと。なる程、それならばこういうタイトルになるのも理解できるかもしれませんからね。

しかし、本作に関してはその想像は間違いです。
ここでいう「悪魔」とは、そのものズバリ、文字通りの「悪魔」すなわち Devil なのです。
魂と引き換えに願いをかなえてやろう、的なアレですね。
「えっ、それってどういうことなんだ?」といぶかしく思う人もいらっしゃるでしょうから、ここで、公式の粗筋を紹介してみましょう。

麻薬の取引現場を押さえそこねて負傷した新宿東署の刑事有馬孝信は、職場復帰後、不気味な刑事九条一彦の下で特別任務を命じられる。九条によれば、この世には悪魔が存在し、強い殺意を抱いた人間に一つだけ“悪魔の力”を授けるという。草木を腐らせる力、水を宙に浮かせる力……不可思議な力と殺しはどうつながるのか?超難解、離れ業トリックに刑事二人が挑む!


これを見て、要するにファンタジー要素を大胆に導入しているということなのかと考えられたならばそれも間違い。
本作は体裁としてはあくまで普通のミステリー、殺人があって、謎解きをすることで犯人が誰なのかを暴くという流れになっています。

もっとも、殺人のトリックに物理法則や科学常識を無視する「悪魔の力」なんていうものが絡んでいる時点で、それは通常の謎解きミステリーでは無いということになるわけですが。
それを反則と捉えるか、たまにはそういう「ヘンな」ミステリーもいいのではないかと思うか、それは読者次第。
ミステリーを読むのは好きですが、ジャンルの作法にはとりたてて拘りの無い私としては、これはこれで、まぁ面白くていいのではないかという感じです。

ラストが少しあっさりしすぎかなとは思いましたが、まずまず、楽しく読ませていただきました。



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