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「家庭教師は知っている」

 2019-10-05
かなり精神的に疲れて参っている時に、気軽に読めるミステリーでも行こうかなと思って積読から引っ張り出したのが、青柳碧人の『家庭教師は知っている』。

ところが、これ、全然気軽に読めるタイプの作品ではありませんでした。
過去に『希土類少女』という前例もありますし、ライトタッチの作品ばかりが青柳碧人ではないというのは分かっていたのですけれど……
主人公が家庭教師派遣業者に勤務しているということで別作品の「JSS進学塾」シリーズが想定されて、あんな感じの読み心地だと思って読み始めたのが、間違いだったということでしょう。

つまり、本作、かなりシリアスで重い作品なのです。キーワードとなるのが「児童虐待」だといえば、おそらく理解していただけるでしょうか。

ここで、ちょっと背表紙の粗筋を引用してみます。

原田は、首都圏で《家庭教師のシーザー》を運営する会社で働いている。大学生のアルバイト講師たちの指導と相談を受け、派遣先の家庭で虐待など深刻な問題がありそうなら自ら家庭訪問を行う。スタッフたちから奇妙な相談が持ち込まれるたび、原田の家に入り浸っている女子高生・リサは「それぞれの家の事情だから放っておけばいい」と言うが……。驚愕のラストが待ち受ける家庭訪問ミステリー。


中身が分かったうえで読み返してみると、なる程、その気配が見えていないわけでは無いなと思いますが、ここだけ見た限りでは、もっと軽い読み心地のものを想定していたので、余計にズシリと来た感じです。
これで仮に読んでいてつまらないと感じられるような内容であったのならば、途中でページを進めるのを一旦中止にして、別の本に取り掛かっていたかもしれません。
ですが、困ったことに、本作、実に面白いのです。
なので気が付けば、ちょっとダウナーな気分の時に決して爽快とはいえない読後感の作品を熱心に一気読みすることになってしまいました。

まぁ、それはそれでいいといえばいいんですけどね、面白かったから。
作者が抱いている問題意識も良く伝わりましたし、それを説教くさくならずに上手い具合に落とし込んでいますし、読みやすさも伴っています。
室長の出番がもっとあっても良かったのではないという気もしますが、それはそれ。
冒頭にも書いたように、気楽に読める作品では無いということを踏まえた上で、それでも興味があるから読んでみようという人には、大いにお勧めです。



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