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「三体」

 2019-07-27
先月の発売以来、静かに流行している中国SFの世界的傑作、劉慈欣の『三体』をようやく読みました。

発売前に重版がかかったとか、発売一週間で10刷を超えたとか、各書店で特設コーナーができているとか、何気に出版各社の文芸担当がいかにして『三体』ブームに乗っかるのかとざわついているとか、色々な情報が錯綜しているこの作品。
バラク・オバマ前アメリカ大統領が絶賛したり、マーク・ザッカーバーグやジェームズ・キャメロンも唸ったりしたという『三体』の公式の粗筋は、次のようなものです。

物理学者の父を文化大革命で惨殺され、人類に絶望した中国人エリート女性科学者・葉文潔(イエ・ウェンジエ)。失意の日々を過ごす彼女は、ある日、巨大パラボラアンテナを備える謎めいた軍事基地にスカウトされる。そこでは、人類の運命を左右するかもしれないプロジェクトが、極秘裏に進行していた。数十年後。ナノテク素材の研究者・汪淼(ワン・ミャオ)は、ある会議に招集され、世界的な科学者が次々に自殺している事実を告げられる。その陰に見え隠れする学術団体〈科学フロンティア〉への潜入を引き受けた彼を、科学的にありえない怪現象〈ゴースト・カウントダウン〉が襲う。そして汪淼が入り込む、三つの太陽を持つ異星を舞台にしたVRゲーム『三体』の驚くべき真実とは?


ストーリーのネタバレは慎重に除外しつつ得ていた前情報からハードなSF作品であるという覚悟をして本作を読み始めたところ、いきなり文化大革命期の知識人迫害の容赦ない描写から幕が上がったのでちょっとびっくりしました。
しかし本作においては、この文化大革命において登場人物の1人が体験することになる出来事が非常に重要な意味を持つことが後から分かってきます。

今回の『三体』は全3部作の1作目ということで、物語としてはまだまだ導入部、内容的にもボリューム的にも第2部、第3部と進むにつれてどんどんグレードアップをしていくらしいです。
この『三体』だけでもストーリーはかなり面白いものになっているので、これが第2部、第3部とどのようになるのか、かなり先が楽しみになってきます。

なお、日本版の翻訳にあたっては、もともとの中国での初版とは構成が違う等の差があるらしいのですけれども、何故そういうことになっているのか、どういう理由からそうしたのか、というようなことを訳者の1人である大森望が「訳者あとがき」として記しているのですが、これがなかなか興味深かったです。
文庫落ちまでは、まだ時間がかかるでしょうし、この「訳者あとがき」が文庫版に収録されるかは分かりませんし、税込1,900円という値段は少し高いですが、これは是非、ハードカバー版で読んで欲しい、読まなければいけない作品だと思います。



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