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「ランドスケープと夏の定理」

 2019-06-15
高島雄哉の『ランドスケープと夏の定理』は、第5回創元SF短編賞を受賞したという表題作から始まる全3話の連作ハードSF。
なんでも作者は『ゼーガペインADP』や『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』等のアニメでSF設定・考証を担当したというキャリアの持ち主だそうです。

公式の粗筋を引用してみましょう。

地球随一の天才宇宙物理学者である気の強い姉に、なにかにつけて振りまわされるぼく。大学四年生になる夏に日本でおこなわれた「あの実験」から三年、ぼくはまたしても姉に呼び出された。向かった先は宇宙空間―ラグランジュポイントL2に浮かぶ国際研究施設だ。姉はそこで誰にも知られることなく、宇宙論に関するある途轍もない実験を準備していた。第五回創元SF短編賞を受賞した表題作にはじまる全三話。瀬名秀明が「日本SFの歴史を次の五十年に受け渡す傑作」と激賞した、新時代の理論派ハードSF。


実際に読んでみた感想なのですけれども、粗筋の謳い文句は伊達ではなく、これは確かにガチな理論派の、ハードなSFです。
そこで展開されている理論はすっかり文系脳になっている私には理解できなかったりもするのですけれど、まぁ、そういう難しいものを本当の意味では理解できないとしてもそのまま読み進めてしまうということには割りと慣れているので、その辺りはあまり気にせずに最後まで一気に読み切りました。

なお、こういう読書にいくら慣れているとはいっても、その作品がいかにもつまらないものである場合には、さすがにページを進めるのがキツくて、読書というよりも苦行に近くなってしまうこともあります。
それでも、せっかくお金を払い購入して読み始めたものであるし、ラスト近くになればストーリーがグッと盛り上がってくるかもしれないし、と考えて、読むのを投げ出したりはしないのですけれども、読了するまでにかかる時間は、やはりかなりかかってしまいます。
その点、本作はそういうところも無く、実にスムースに最後まで読み終えることができました。
つまり、そこで描かれている世界観、盛り込まれている設定などは確かに難しかったりするものの、ドラマの面白さやキャラクターの魅力がバッチリなので、文系な私で楽しみながら読むことができたということです。
扱っているテーマは意外と古典的(つまりSFとして王道)で、馴染みがあったというのも、そこには作用しているかもしれません。

なお、本作のことを「姉SF」だという人もいますが、それは一種の至言です。どこがどういうことで「姉SF」なのかは実際に本作を読んで確認してほしいと思います。
一応、単に傍若無人な姉キャラが出てくるからということではなく、もっと違う意味でも、本作はどこからどう切り取っても逃げも隠れもしない「姉SF」であると、私もここで断言しておきましょう。

今後の活動が楽しみなSF作家がまた1人出てきたと言ってよさそうです。



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