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「星を墜とすボクに降る、ましろの雨」

 2019-05-04
書店で見かけた際に、いわゆる「泣ける」恋愛系のSFなんだろうなと思い、買うかどうかを迷ったのが、藍内友紀の『星を墜とすボクに降る、ましろの雨』。
結局、そうこうしているうちに、何だかそういうものを読みたいような気分になってきてしまったので、購入して読んでみることに。

裏表紙に印刷された粗筋は、こんな感じです。

「ボクたちは、星を墜とす機械だ。人間にはなりたくない。でも…」人造の眼球と巨砲“トニトゥルス”で、地球圏に迫る星々を軌道庭園から撃ち墜とす役目を担う、造られた子どもたちが居た。その一人である霧原は、寡黙な担当整備工の神条に心惹かれる。しかし、彼の元妻を名乗るハヤトが突然現れ、空前の規模の流星群が飛来する中で、彼女は自身の無慈悲な宿命を知る―。強く儚い防人の少女がそれでも抗い叫ぶ、小さな恋の唄


というわけで、内容的には、当初に書店で本作を見かけた時に「こんな感じだろうな」と想像していた通りのベタな内容にベタな展開ですね。
そんな中では、ここで描かれている「恋」が何が対象でどういうベクトルなのか、というところが本作の一番のミソ。
とはいえ、それがどのようにミソになっているのかは、ネタバレになるのでここに書くことはいたしません。
皆さんそれぞれが自由に想像してみて、そして本作を実際に読んで答え合わせなどをしてもらえれば、それでいいかなという風に思ってます。

いかにもなベタさ故に凡庸なメロドラマになって、お涙頂戴に終わってしまいそうな物語が、それでもグッと踏みとどまることに成功しているのは、おそらく全編に満ちるストイックさがあるからでしょう。
一方で、文体にまで溢れているこのストイックさが、文章に読みにくさや生硬さをもたらしていたのも事実。
それはそれで作品の雰囲気に合っていたので基本的に問題になる様なものではないでしょうが……
もうちょっとスムースに読み進められるようでないと、ファンとなる読者の獲得という点で、苦労するかも。

まあ、そんなことを書いていながら、実は個人的には結構好きだったりするのですけれどね、こういう文体。
お薦めであり、同時にお勧めしにくさもある、そんな恋愛SF小説です。



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