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「M.G.H.―楽園の鏡像」

 2019-04-06
何でいまさらと思われるでしょうが、平成も終わろうかというこのタイミングで、第1回日本SF新人賞を2000年に受賞した三雲岳斗の『M.G.H.―楽園の鏡像』を読了しました。

日本初の多目的宇宙ステーション「白鳳」で発生した、不可解な出来事。無重力の空間をゆっくりと漂う死体は、まるで数十メートルの高度から“墜落”したかのようだった。果たして、事故なのか、事件なのか?従兄弟の森鷹舞衣の“計略”により、偽装結婚をして『白鳳』見学に訪れていた若き研究者・鷲見崎凌は、謎の真相を探るため、行動を開始することとなる……。斬新な設定とスマートな論理的解決で、各界に衝撃を与えた本格SFミステリー。第1回日本SF新人賞受賞作品がついに文庫化!!


この、裏表紙に書かれた粗筋を読むと分かるように、無重力下での墜落死という論理的に矛盾している死因をどのように説明するのか、閉鎖された環境である宇宙ステーションで殺人を決行した犯人の同期は何なのか、というようなことが問われていく、つまり本作は逃げも隠れもしないガチのミステリーということになります。

SFにしろミステリーにしろ、色々とうるさい原理主義的な方も多いジャンルです。
私はその点では結構適当というか、細かいことはそこまでこだわらないところがあって、多少論理に無理があったり、科学的に嘘が過ぎるようなところがあっても、それが致命的に変で無いのであれば、物語自体が面白ければそれで問題なしという、ある意味、物語至上主義的なスタンスをとっています。
ですので、そういう観点で本作を語ることはしないし、そもそもできなかったりもしますが……
ネットで本作のレビューを調べてみると、そのよな点を指摘してマイナス評価を付けているものも見受けられるのようですね。

とはいえ、私がその辺りに甘い読者であるからか、個人的には、そのような不満はあまり感じませんでした。
強いて言えば、動機の部分に「そんなものかなぁ」という微妙に納得しきれない部分を覚えたことくらいでしょうか。

日本SF新人賞受賞作という肩書からは、さてはちょいとばかり本格的なSFなのではないか、と構えてしまうこともあるかもしれません。
けれども、本作はかなりキャラクター小説やラノベの方向に寄せた読み心地の作品であり、仮にハードSFのようなものを期待して読み始めたとすると、肩透かしを喰らうことになるでしょう。
どちらかというと、ラノベ系の読者をSFに誘導するようなタイプの作品だと考えた方が、いいかもしれません。

面白く読ませてもらったので、デュアル文庫での他作品も引き続き読んでみようかと思います。



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