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「言鯨16号」

 2019-03-09
JUDY AND MARY の「くじら12号」はさすがに関係ないと思いますが、しかしどうしても作品タイトルからはそこを想像せずにはおれない、九岡望の『言鯨16号』を読了。

神“言鯨(イサナ)”によって造られた砂の時代。全土は砂漠化し、人々は言鯨の遺骸周辺に鯨骨街(げいこつがい)を造って暮らしていた。街々を渡る骨摘みのキャラバンで働く旗魚(かじき)は、旅の途中で裏の運び屋・鯱(しゃち)と憧れの歴史学者・浅蜊(あさり)に出会う。執政機関ヨナクニには内密で、十五番鯨骨街へ奇病の調査に行く――そう語る浅蜊に同行を許され、心躍る旗魚。だが浅蜊が遺骸に近づきある言葉を口にした瞬間、黒い影が現れ、圧倒的な力で世界を破壊し始めた。


という公式の粗筋を読んだ限りでは、まぁ、率直に言って、どこかで見たようなストーリーだなと感じてしまうのは否めません。
砂漠に覆われた惑星というのは、例えばフランク・ハーバートの『デューン 砂の惑星』を始めとして日本・海外を問わずに様々な作品がこれまでに書かれています。
最近でも梅田阿比のマンガ『クジラの子らは砂上に歌う』がTVアニメになったりもしていますよね。
文明崩壊後と思しき世界観も、珍しくはありません。
つまり、ありふれた設定で書かれたありふれた作品である可能性も高いよなぁと、本作を読む前には思っていました。

さて、そうは言いつつも実物を書店で目にした時に何となく惹かれるものを感じてしまい購入した本作。
ハヤカワ文庫JAからの発売ですし、おそらくこういう方向になるのだろうなと想像していた通りに、物語はページが進むにつれてSFの方向に大きく近づいていきます。
要は、言鯨とは何か、砂の世界に生きる者達はどのような存在なのか、ということがクローズアップされていくわけですが、その過程で、序盤の辺りを読んだ時に感じた違和感、ちょっと疑問を覚えた部分などが、ああ、あれはそういうことだったのかと腑に落ちていくことが結構ありました。
これは、読書の醍醐味が感じられて、いいものです。

明かされていく真実がどこまで斬新なものであったか、読み手を唸らせるようなものであったか、という点では、ある程度予想もできたところがあるので、驚きはそこには無かったのですけれども……
1冊でかなり綺麗にまとまっていますし、買ってみて正解でした。



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