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「君と漕ぐ ながとろ高校カヌー部」

 2019-02-16
武田綾乃の『君と漕ぐ ながとろ高校カヌー部』は、全国区で認知されているかどうかは疑問も残りますが、少なくとも関東辺りでは川下り観光等で知られる埼玉県の長瀞を舞台に、カヌー部に所属する女子高生たちの青春を描く部活小説。
「ながとろ」が平仮名表記である辺りに、長瀞の全国的な知名度がそんなに高くないことがうかがえたりもすますが、まぁ、それはそれですよね。
そのことが本作の内容に関係してくるわけでもないですし。むしろ、『響け!ユーフォニアム』シリーズが人気の作者が長瀞を舞台にした小説を書いたことで、知名度が一気に上がるなんてことも想定されますから、逆にプラスに考えるべきかもしれません。
別に本作はそういうタイアップを考えて書かれたものではないと思いますけれども、結果的に。

認知度ということでいえば、本作が題材にしているカヌー競技に対する我々の認知度も、大概低いものです。
もちろん、身内に関係者がいらっしゃる場合は別でしょうけれども、いわゆる花形競技のそれに比べれば、そもそもどういう種目があるのか、使われている機材はどういうものなのか等々、基本的な知識からして、一般人はほとんど知らないということが言えると思います。
そして、そういう競技こそ、この手の青春部活小説の題材としては最適なところがありますから、その意味では、武田綾乃はなかなかいいところに目をつけたと言えそうです。

といって、着眼点がいくらいい感じだとしても、そこに中身の面白さが伴っていなければ、作品としてはイマイチになってしまいます。
本作の場合は、基本的なストーリーラインはカヌーの初心者である主人公たち高校生が部活の練習を重ねて大会での上位成績を狙うというオーソドックスなものです。
つまり作品としての出来栄えは、カヌー競技の面白さを読者にどれだけ伝えられるかということと、登場するキャラクターに魅力があるか否かにかかってきます。
そういう点については既に『響け!ユーフォニアム』シリーズで、武田綾乃は慣れているということなのでしょう。手堅くまとめていると思います。
スポーツ小説として読むと、盛り上がりに少々欠けるところは、ありますが……

作者のコメント等を見る限り、どうやらこの作品は最初からシリーズ化が前提となっている企画のようです。
企画段階から単巻で割ることは想定されていないとしても、一応これ1冊で終わりと言っても成り立つような仕上がりになっているのは、セールスが悪かった場合の対処も考えているからですよね。
もうちょっと続きを読んでみたい気がしているので、私としては、予定通りに続きが出て欲しいところ。



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