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「忘られのリメメント」

 2019-02-09
三雲岳斗の『忘られのリメメント』を読了。
「本館」でだいぶ前に『少女ノイズ』を紹介したっきりでその後、三雲岳斗については他作品を取り上げては来ませんでした。
しかしそれは読んでいないということではなくて、実は他にもライトノベルの『ストライク・ザ・ブラッド』シリーズは読んでいて、そちらも楽しませてもらっていました。
ですので、「本館」とこの「別館」はともかくとして、個人的には、わりと頻繁に著作に触れているという印象のある作家でもあります。

さて、そんな三雲岳斗といえば、かつて2000年にSFミステリーの『M.G.H.―楽園の鏡像』で第1回日本SF新人賞を受賞していたりもしましたし、何気にSFというジャンルとも誓い作家なわけですが、本作も、ジャンルはずばり、SFです。

擬憶素子、通称「MEM(メム)」を額に張るだけで、他者の記憶を擬憶体験(リメメント)できるようになった近未来。MEMに記憶を書きこむ"憶え手"である歌手の宵野深菜(しょうのみな)は、リギウス社CEOの迫間影巌(はざまかげよし)から脱法MEMの調査を依頼された。そのMEMには、死亡したとされる稀代の殺人鬼・朝来野唯(あさくのゆい)の模倣犯による犯行の模様が記録されているらしい。かつて朝来野と同じ研究施設で暮らし、朝来野の記憶を移植された深菜は、自らの擬憶に対する朝来野の影響を否定するため、捜査を開始する。だが同時期に深菜の同居人・三崎真白(みさきましろ)が殺されてしまう事件が発生。殺害現場に残されたメッセージを読んだ深菜は、朝来野の死そのものに疑問を抱きはじめる――記憶と擬憶をめぐる、静謐なるSFサスペンス。


というのが、公式の粗筋。
他者の記憶の疑似体験、あるいはその移植。そしてその中に大量殺人鬼の記憶が、というような流れは、今更珍しくない、ベタなものだと言えるかもしれません。
その、基本的なベタさをどのように料理してくるのか、どこにどう自分なりの色を出して、この『忘れれのリメメント』ならではの要素を入れてくるのか。
そこが本作の読みどころでしょう。

なお、粗筋に「静謐な」とあるように、本作には派手なアクションや展開はありません。
厳密には、映像化したときにヤマ場になりそうな派手目のシーンはあるのですが、描写があくまで「静謐」なのです。
うん、こういうのは好きですね。
やはり三雲岳斗作品とは相性がいいようです。
となると、今の時代に読むと古臭い描写も多いかもしれませんけれど、それこそ『M.G.H.』辺りの作品も読まなければいけないかな……。




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