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「怪奇探偵リジー&クリスタル」

 2018-11-24
山本弘の『怪奇探偵リジー&クリスタル』は、第二次大戦直前、1938年のロサンゼルスを舞台にした、パルプマガジンテイストの探偵小説。
主人公である女性私立探偵のリジー・コルトと助手のクリスタル・ナイトの2人のキャラクター設定もなかなか個性的で、パルプSFや怪奇映画や初期の特撮映画、古典SFの大家達への愛やリスペクトがふんだんに盛り込まれた、つまり、山本弘の趣味の世界をてんこ盛りにした、いわゆる「おもちゃ箱をひっくり返した様な」作品です。

ちょっと、粗筋紹介を引用してみましょう。

第二次大戦前の1938年。ロサンゼルスに事務所を構える、女性私立探偵エリザベス・コルト(通称:リジー)と、助手の少女クリスタルのコンビが、街を震撼させる奇怪で残忍な事件に、特殊な身体と知性を駆使し、勇敢に立ち向かう。パルプマガジンの表紙絵にそっくりな惨殺死体、幻の特撮映画上映中に消えた人々、甦る中世イギリスの錬金術師の魔法、謎めいたタイムトラベラー、異空間から紛れ込んできた凶獣の暴走…。型破りな謎と解決法が痛快で楽しい5篇を収録。


これだけで、B級の匂いがプンプンとしてきますよね。

実際読んでみると、もう、これは作者自身がかなり楽しんで書いたんだろうなぁというのが、作品のいたるところ、端々から滲み出てきていて、そういう意味では、微笑ましくさえありました。
そんな中で、単なる内輪ウケや薀蓄披露だけに終わらず、しっかりとエンターテインメント作品として仕上げているのは、さすがというところ。

収録された全5エピソードのそれぞれでB級の雰囲気をみごとに描き出しつつ、娯楽作品としては極上で、かつ、時にちょっとした切なさも潜ませる。
これは、かなりの傑作ではないでしょうか。
山本弘は、こういうのも上手いですね。

ちなみに本書、文庫化前のソフトカバー版は装丁が(おそらく)意図的にペーパーバックに似せているのですけれども、これが中々に雰囲気抜群で、好印象です。
そういった辺りで、編集者も含めた遊び心も感じさせてくれるのは、いいですよね。
私が読まずに積読にしているうちに、既に文庫化もされて随分と経つのですが……こう言うのもアレですが、私がそちらで買ったからというのではなく、雰囲気その他を総合的に考えれば、同じ手にするのであればペーパーバック的な書ソフトカバー版の方が、作品には合っているような気がします。



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