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「あとは野となれ大和撫子」

 2018-11-17
2017年の第157回直木賞で候補作品となった、宮内悠介の『あとは野となれ大和撫子』を読了。

同じく2012年の第147回直木賞で候補になっていた『盤上の夜』は、結構渋めの内容のSFであり、けれども娯楽要素もしっかり入っていて非常に面白い作品でした。
なので、あちこちで私の信頼している書評家等に大好評となっていた本作にも、大いに期待するのは当然というものといえましょう。
ここでちょっと、出版社である角川書店の作品紹介ページに書かれた粗筋を紹介しましょう。

中央アジアのアラルスタン。ソビエト時代の末期に建てられた沙漠の小国だ。この国では、初代大統領が側室を囲っていた後宮(ハレム)を将来有望な女性たちの高等教育の場に変え、様々な理由で居場所を無くした少女たちが、政治家や外交官を目指して日夜勉学に励んでいた。日本人少女ナツキは両親を紛争で失い、ここに身を寄せる者の一人。後宮の若い衆のリーダーであるアイシャ、姉と慕う面倒見の良いジャミラとともに気楽な日々を送っていたが、現大統領が暗殺され、事態は一変する。国の危機にもかかわらず中枢を担っていた男たちは逃亡し、残されたのは後宮の少女のみ。彼女たちはこの国を―自分たちの居場所を守るため、自ら臨時政府を立ち上げ、「国家をやってみる」べく奮闘するが……!?内紛、外交、宗教対立、テロに陰謀、環境破壊と問題は山積み。それでも、つらい今日を笑い飛ばして、明日へ進み続ける彼女たちが最後に掴み取るものとは―?


実際に読み始める前は、例えば酒見賢一の『後宮小説』(新潮社 新潮文庫)のようなものだったりするのかなぁと勝手に考えていた本作。
読後の感想としては、それは半分くらい当たりでした。

ちなみに本作については、無茶のある設定だとか、ご都合主義的に物語が展開し過ぎるとか、そういう批判をしばしば目にします。
が、娯楽作品としては、これくらいでもまるで構わないのではないでしょうか。
アラルスタンが隣国のエゴに無残に蹂躙されたり、革命勢力が跋扈して主人公たちが酷い目にあったり、無残な死、無慈悲な死が大量に発生したり、というような展開は、例えそれこそがリアルな姿なのだとしても、それをこういう作品に求めようとは、私は思いません。

無論、人の好みはそれぞれなので、自分としてはそういうものをこそ読みたいのだ、という人もいることを否定はしませんけれど。

『あとは野となれ大和撫子』はそういうハードなタイプの小説ではなくて、もっと気楽に、余計なことを深く考えず、頭を空っぽにして、後宮で学ぶ少女達の活躍を素直に楽しむタイプの作品だと思います。
カリカチュアライズしながらも中央アジアの政治的状況を何気にシリアスに盛り込んだりしているので、地に足がついている感もありますし、すっかり楽しませてもらいました。

これは、宮内悠介の他の作品も、もっと色々と読んでみなければならないかな?



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