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「ぬばたまおろち、しらたまおろち」

 2018-11-10
第2回創元ファンタジイ新人賞の優秀賞を受賞したという、白鷺あおい の『ぬばたまおろち、しらたまおろち』(を読了。
筑波大出身だという著者はこの前に別名義で2冊の歌集を出している歌人らしく、1967年の生まれだそうなので2016年に本作で受賞した時の年齢は49歳ということに計算上はなります。
作家デビューとしては遅めですが、まぁ、他にもこんな例は幾つか思い浮かびますし、これくらいはそこまで珍しいことでは無いのかなという気もします。
十代の多感な少女を主人公としたジュヴナイルなファンタジーを書く際にネックとなるかもしれませんが、本作は、まさしくそのジャンルの小説なわけで、そこがどのようにこなされているかを楽しむというのも、少し意地は悪いかもしれませんけれども、読みどころの1つになるのではないでしょうか。

裏表紙にある粗筋を、引用してみましょう。

「両親を失い、叔父の家に引き取られた綾乃。村祭りの夜、サーカスから逃げたアナコンダに襲われた彼女は、危ういところを箒に乗った魔女に助けられる。魔女の正体は、村に来ていた女性民俗学者。怪我を負った綾乃は、救い主の母校で治療を受け、そのまま入学することに。だがそこは、妖怪たちが魔女と一緒に魔法を学ぶ奇妙な学校だった。」


巻末の選評で各選考員が書いているように、基本、本作は「どこかで読んだ」ような要素の積み重ねで成り立っている物語です。
それをどのようにアレンジするかとか、あるいはアレンジとまではいかないまでも組み合わせを工夫してみるか、というところも書き手の腕の見せ所ですが……。
うん、やりたいこと、そして自分の好きなものを詰め込むだけ詰め込んだ上で、ガール・ミーツ・ボーイ的なところに落とし込んだ構成とか、ちょっとみえみえだったけれどもお約束を踏襲したオチとかは良かっです。
しかしながら、主人公が学園に行く経緯に、大いに疑問を覚えてしまい、その違和感が最後まで抜けきれなかったのは、結構なマイナス要素なのではないでしょうか。

そこで学園に行くという展開にならなければ、その後の話が回らないのは分からなくもありませんが、ああいう形での入学にしなければいけない必然性はありません。
何より、どう考えても社会常識的に問題があり過ぎです。
というか、刑法的にも問題があるんじゃないでしょうか、アレ。

オーソドックス過ぎる気はあるものの、まずまず面白いとも言える作品であるだけに、そこがもったいなかったですね。
本作はシリーズ化されて第2巻も出ているので、一応、そちらも読んでみるつもりです。




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