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「ペンギンは空を見上げる」

 2018-09-29
八重野統摩の『ペンギンは空を見上げる』は、北海道に住むとある少年が抱く宇宙への憧れを描いた物語。
……と、それだけではイメージがし辛いでしょうから、少し長いですが、公式の粗筋を引用してみます。

「将来、NASAのエンジニアになりたい小学六年生の佐倉ハルくんは、風船宇宙撮影を目指しています。できる限り大人の力を借りず、自分だけの力で。そんなことくらいできないようでは、NASAのエンジニアになんて到底なれないから、と。意地っ張りな性格もあってクラスでは孤立、家に帰っても両親とぎくしゃくし、それでもひたすらひとりで壮大な目標と向き合い続けるハルくんの前にある日、金髪の転校生の女の子が現れて……。ハルくんの、夢と努力の物語。奮闘するこの少年を、きっと応援したくなるはずです――読み終えたあとは、もっと。」


ミステリ・フロンティアという名前のレーベルから刊行されている以上は、そして実際にも、本作は一応、ライトミステリーに分類されても問題が無いような作品です。
が、読み終えてみても、ミステリーを読んだというような実感は、あまりありません。むしろ、ライトSFあるいはジュヴナイル作品を読んだ、というような印象が残る1冊でした。それも、ちょっと良質な。

少年、宇宙、ペンギンという組合せからは、アニメ映画化もされた森見登美彦の傑作『ペンギン・ハイウェイ』を連想します。
ですが、本作はあそこまでSFにがっつり寄せてはいなくて、どちらかというと川端裕人の『夏のロケット』や あさりよしとお の『なつのロケット』に近い読後感のある作品でした。

なお、何故「ペンギン」なのか、読み始めてからずっと疑問を抱きながらページを捲っていたのですが、その答えは、最後の1文にありました。
なる程、そういうことですか。
そういうことならダチョウやキーウィでもいいのではないか、と思わないでもないものの、そこで「ペンギン」を選んでくる辺りには、実は『ペンギン・ハイウェイ』に対するリスペクトのようなものがあったりするのかもしれません。
もちろんこれは、完全に、私の勝手な妄想ですが。

作品紹介の粗筋を読んで「これは私のツボにはまりそうだな」と思って購入し、そして実際にツボにはまったという本作、結構お薦めです。



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