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「ペンギン・ハイウェイ」

 2018-08-19
以前に「本館」では紹介している森見登美彦原作小説がアニメ映画となった、『ペンギン・ハイウェイ』を映画館で観てきました。
その際に私は、この物語について、次のような感想を書きました。

謎めいた年上のお姉さんへに対して抱く少年のほのかな憧れ、心の疼き、そして、このラスト。……性格などのキャラクター設定は全く違っているのですが、思わず、哲郎とメーテルを思いだしてしまいました。そうか、この作品は、「万感の想いを込めて」ペンギンが「ゆく」物語であったか!


この時に感じたことは、今でも変わっていません。
『ペンギン・ハイウェイ』という物語は、少年が抱く年上の美人のお姉さんへの憧れと、それが彼を成長させる糧となる様を描く物語です。

もちろんそれだけではなくて、本作の刊行当時によく言われていたように、古典SFの1つであるスタニスワフ・レムの『ソラリスの陽のもとに』(早川書房 ハヤカワ文庫SF)へのオマージュという性格を持っていたりなんだりと、『銀河鉄道999』において哲郎がメーテルとの出会いと別れの中で「二度と帰らぬ少年の日々」を卒業していったのと同種のことを描くだけの作品というわけでは、『ペンギン・ハイウェイ』は、ありません。
そういう複雑なところをどう描くのか、少年すなわちアオヤマくんが行っている、どこかで方向を間違えばストーカーと言われるかもしれない「お姉さんの研究」をどう描くのか、そして原作ではどこか淡々とした印象があった物語を、エンターテインメントの映画としてどのようにまとめてくるのか。
『ペンギン・ハイウェイ』がアニメ映画化されるということを知って私が感じたのは、そのような不安(と、興味)でした。
だからこそ、それがどうなっているかを確かめる為にも、公開されたら絶対に映画館に足を運ぼうと決めていたのです。

さて、そうして観てきた『ペンギン・ハイウェイ』。
控えめに評して、傑作です。
原作に忠実に、原作の味を崩さず、原作を愛するスタッフ達が原作の魅力を伝え、かつ、映像としての楽しさをとことん追求してきた、「原作の、原作による、原作の為のアニメ化」だと言っていいでしょう。
だからといって、アニメとして、エンターテインメントとしては駄目だということはなく、そちらの方向でもしっかりとしたジュヴナイルとして本作は成立しています。
これは、制作側もなかなか苦労しただろうなと思いますし、その苦労を乗り越えてこれだけの作品に仕上げてくれたことには、原作ファンの1人として、「感謝」の一言しかありません。
森見登美彦は、アニメ化に関しては本当に恵まれていますね。
一番心配だった蒼井優の「お姉さん」も、観終わってみれば「これしかない!」というくらいにハマり役でしたし、是非、夏のうちに映画館に足を運んで観ていただきたい作品です。

絶賛お薦め作品、と言わせていただきます。


公式サイトは こちら から



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