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「プラネタリウムの外側」

 2018-08-18
2016年から2017年にかけて雑誌『SFマガジン』に掲載された4編に書下ろしを加えた全5編からなる早瀬耕の『プラネタリウムの外側』。
これは、以前に紹介した作者のデビュー作『グリフォンズ・ガーデン』の後日譚となる連作短編集です。

『グリフォンズ・ガーデン』の登場人物が出てきたりするわけでは無いので、どちらを先に読んでも特に問題はないでしょうけれど、基本的にはやはり刊行順に読んでおくというのが、この手の作品のセオリーですよね。
そんなわけで私は今回、『グリフォンズ・ガーデン』をきっちり読み終えてから『プラネタリウムの外側』へ、という読み順にこだわってみました。

そうして読んでみるとはっきりと分かるのですが、この2作品はそれぞれ同じようなテーマであり、まさしく四半世紀の時を挟んで生まれた双子のような関係にあります(26年も誕生日の違う双子は論理的にあり得ない、というご指摘は無用に願います)。

もちろん、まだ大学生だった頃に卒業論文の一環として書かれたという『グリフォンズ・ガーデン』と、50歳という辺りになって(著者は1967年生まれ)書いた『プラネタリウムの外側』とでは自ずと違ってくるものもあります。
けれども、世界は自分が認識しているから存在しているのではないか、世界も他人も自分の頭の中にしか存在しないのではないか、自分自身も誰かがシステムの中に作りだしただけの存在なのではないか、というような、昔からの定番である哲学的テーマに人の実存とAI技術とを絡めるところとか、精神的にピュアさの高い恋愛をそこに絡めるところとか、明らかに対になっている作品だと思います。

若さ故の青臭さ、そして卒業論文として書かれたものだという性格から、ロジックを捻って綴るような章もあった『グリフォンズ・ガーデン』に比べると、『プラネタリウムの外側』の方が一般的な意味での「小説」になっているので、読みやすさはこちらが上、かな……?

ここまで早瀬耕の作品を3つ読んできたわけですけれども、それ等に見られる恋愛要素の色付けが共通していて、これがつまり彼の恋愛観なんだろうなと感じました。こういう考え方、嫌いじゃないです。



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