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「皇女の騎士 壊れた世界と姫君の楽園」

 2018-08-04
粗筋紹介を読んで、おお、戦場帰りの戦士の心が癒されていくハートフルな物語かなと思って手に取ってみたのが、やのゆい の『皇女の騎士 壊れた世界と姫君の楽園』です。

蛮族との戦の功績により、竜王国の騎士隊長へ成り上がった竜騎士アルス。将来を期待されていた彼だったが、ある日、空から飛来した謎の巨大軍船を駆る皇国によって国を滅ぼされ、流浪の身となってしまう。すべてを失ったアルスが唯一求めるのは、祖国や友を奪った皇女ハルノミヤの首。しかしその復讐の旅の最中、敵国の娘サファイアと出会い、なぜか旅館経営を手伝うことになり―。仕える国を失ったエリート騎士の再生ファンタジー、開幕!


ただ、読み進めて行くとわりとすぐに分かるのですが、これは、そういった言葉から期待されるものとはちょっと違う要素が色々と盛り込まれている作品でした。
つまり、傷ついた心の再生というようなシンプルなものや、友や主君の敵討ちに凝り固まった元騎士が休暇中の敵国の姫君と出会って始まる恋物語というようなものではなくて、言ってみればごった煮のような作品です。

で、どこがどう「ごった煮」状態なのかは是非実際に読んで確かめてみてほしいという感じなのですが……
純然たるファンタジーと思っていたら銀河帝国とか宇宙艦隊とかが絡んできたり、人攫いに誘拐されたところを助けたのだと思っている養い子には何やら秘密がありそうだし、人類滅亡の危機というフレーズが出たかと思うと気が付けば国盗り物語になっていますし、いやぁ、やりたいことをてんこ盛りにして放り込んで攪拌したような、そんな作品なんですよ、これが。
そこからそう来るのか、というような、飛ばしまくっている物語の流れを堪能できて、かなり楽しく読ませてもらいました。

なお、当初私が期待したようなハートフルさ、ハートウォーミングな要素が本作には無いのかというと、それはそれで、要素としてきちんと存在しています。
要するに、それがメインになっているわけではない、ってことですね。

本作の物語は、一応この1冊で完結しているのですが、作中で示唆されながらも明かされていない謎があったり、「俺たちの戦いはこれからだ」エンドのようになっている部分があったりで、ここで発生した状況が終息しているわけではありません。
そういう、エンディング後に読者の創造(妄想ともいう)の余地を大きく残しておくくらいの方が、こういう作品には程度な余韻になっていいんじゃないかなと個人的には思うのですが、作者の中では、今回のセールスが良ければ、是非その辺りを題材にシリーズ化をしたいと思っているようです。
うーん、それはそれで読んでみたいという気はするけれど、この人に、宇宙艦隊戦とか、政治劇というようなものが、ちゃんと書けるかな……?
作風的には、ちょっと不安もありますね。


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