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「機巧のイヴ 新世界覚醒篇」

 2018-07-07
乾緑郎の『機巧のイヴ 新世界覚醒篇』は、以前に紹介した作品の、第2弾。

庶民文化の乱熟した江戸辺りがモデルと思しき、架空世界の都市を舞台にした作品だった前作。
本作は、そんな前作から100年後の1982年、今度はアメリカと思しき国を舞台にしています。
物語の発端は、開催に向う建設作業が滞りがちな万国博覧会で展示されるために、すっかり動かなくなってしまっている機巧人形の伊武が持ち込まれたことになります。

ちなみに、1982年の万博でコロンブスということは、これはシカゴ万国博覧会のことでしょう。
それから100年前ということは、前作は化政文化の時期と思っていたけれど、それより少し前になるのでしょうか。
ともあれ、第1作とは大きく舞台設定を変えて描かれる今回の物語は、これまた、かなり面白いものとなっていました。

なお、今回は連作短編形式ではなくて、長編の形で1つの物語がじっくりと描かれています。
全体を通じて題材となっているのは、「人の心」の在り方、「心を持つ」とはそもそもどういうことなのか、そんなところでしょうか。
前作を紹介したときにも書いたと思いますが、SFとしては非常にオーソドックスなものであり、これまでにもいくつも名作・佳作が書かれてきたネタです。
そして、定番になるだけの力のあるネタでもあります。
そこで問われるのは、本作がその系譜に名を連ねることを許されるだけのものになれているのか、というところなわけですが……
その点は、ひとまずクリアーしていると言っていいのではないかと思います。

容赦の無さや、スプラッタなところもあるので、そこをどう受け止めるか、それも含めて面白いと思うか拒否感を覚えるかは読む人次第。
ちなみに私は前者です。

巻末の解説で池澤春菜も書いていますが、これは、シリーズ第3弾を期待させられる終わり方ですね。
乾緑郎さん、できれば、お願いします。



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