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「金木犀と彼女の時間」

 2018-06-23
私が好きなジャンルの1つに時間ネタのSFがあります。
そして、特にその中でもジュヴナイル的なストーリーのものが好きです。
そこから考えて、本屋で見かけた瞬間に、これはツボにはまりそうだなと思ったのが、彩坂美月の『金木犀と彼女の時間』。
これの購入を最終的に決意させた表紙折り返しの粗筋を、引用させていただくとすると……

「屋上で拓未に告白された直後、菜月の人生三度目のタイムリープが始まった。この状態に陥ると、菜月は同じ一時間を五回繰り返すことになる。つまり菜月は、このあと拓未に五回告白されるはずだった。しかし一回目、屋上に向おうとした菜月の目の前で、拓未は屋上から墜死する。なぜ!?タイムリープ中の出来事が変更されるはずはない、それなのにどうして拓未の死という、ありえない事態が発生することになったのか?チャンスはあと四回、それまでに彼の死を食い止める方法を、絶対にみつけなければ!他人に心を開ききることができない女子高生が文化祭中の校舎を駆け巡る、恋、友情、不安すべてを詰め込んだ学園ミステリ。進境著しい俊英が放つ快作!」


作品タイトルに「金木犀」という、その花の香りで知られている植物の名前があって、そこにタイムリープというと、どうしてもラベンダーの花が脳裏に浮かんで、筒井康隆の『時をかける少女』を連想せずにおれません。
これは私の勝手な解釈かもしれませんが、おそらく彩坂美月もそこは承知の上であり、むしろオマージュ的な意思も込めて、金木犀というものをここに示したのではないかな、と考えています。
というのも、作中における金木犀の描写と役割は、わざわざ作品タイトルにまで冠さなければならない程のものでは無いかなと思われるから。
金木犀の花言葉は「謙虚」「陶酔」「初恋」「変わらぬ魅力」「気高い人」「真実」「真実の愛」だそうですが、これは本作の物語には、関係しないわけではないけれど、そこまでということは無いかなぁ。

ちなみに、ラベンダーの花言葉は「あなたを待っています」「繊細」「清潔」「優美」「許しあう愛」「期待、幸せが来る」「沈黙」だそうです。
これまでの人生で、とりたてて花言葉に注目してきたことはありませんけれど、たまにこうして調べてみると、面白いものですね。

話が逸れました。
本筋に戻りますと、ラストの展開に、「それってそれでいいのか?」と思うところが一部無いわけではありませんでしたが、概ね、期待通りの面白さを持っている、なかなか良い作品だと感じました。
10代の揺れ動く不安定な感情、友情や恋愛、進学問題等々、そういったものを比較的瑞々しく描いている作品。
展開などに意外性があまり感じられない少々ベタな物語なものの、結構、いい感じに読ませてくれました。


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