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「テスタメントシュピーゲル」第3巻

 2018-05-05
4月の半ばに、第1巻から読み返し始めた冲方丁の「テスタメント」シリーズも、今回紹介する『テスタメントシュピーゲル』第3巻上下で完結。
追いつめられ、仲間を削られ、絶体絶命の状況からの反撃開始。
こういう展開は、その作品のジャンルを問わず、例えばスポ根モノであろうとミステリーであろうと青春恋愛小説であろうとファンタジーであろうと本作のようにSFであろうと、その全てにおいて、およそエンターテインメントであるならば鉄板だと言えるものです。
本作の場合は、その追い込まれ方がいかにも容赦なく過酷なので、その過程を読んでいる段階では、これがどのように反撃に転じられるのか、ちょっと想像もできないくらいでした。
もちろん、よもやこのまま主人公達が全滅して皆な死んでしまうようなことにはならないだろうけれども、物語の要求する必要性に積極的に殉じるどころか、それを上回るようなものを平然とぶつけてくるようなのが冲方丁のスタイルですから。

一応ライトノベルレーベルからの刊行ということを考慮すれば主人公達6人の命は長らえるとしても、その他のメインキャラはどうなるか分からない。
そんな予感にちょっとビクビクしながら(何しろ、魅力的なサブキャラが大量に出演している作品ですから)、それでもきっと極上の大団円が訪れるに違いないと思えたのは、物語の進行上の大きなポイントとなるところで幾度となく出てきた、「報われざること一つとしてなからん」というフレーズがあったから。
このフレーズの意味するところは、わざわざ説明することも無いでしょう。
シリーズ開始からここまで、「シュピーゲル」シリーズという物語の始まる前、主人公たる彼女等が生まれてからこの『テスタメントシュピーゲル』までの間に味わってきた全ての痛み、苦しみ、悲しみ、憤り、怒り、そういったものの全てに「報われる」時が来る。
それは素晴らしいカタルシスであり、いざそういうシーンが訪れたらさすがの私でもグッと来るものがあるだろうなと確信できる位のことです。

そうして多大なる期待と若干の不安を抱きつつ読み始めた『テスタメントシュピーゲル』第3巻上下。
率直に言いましょう、予想以上の面白さでした!

主人公達が反転攻勢をする為に選んだ移動手段がまた秀逸で、それはMPB遊撃小隊小隊長のキャラクターに非常に合っていますし、ここでこういう展開に持ってくるか、ということに、まず唸らされました。
その後も、次々と繰り返される怒涛の展開に次ぐ展開。
そこでしっかりとここまでの伏線を回収もしていきますし、因果、因縁というものをしっかりと反映した「報いられ方」の数々には、もう、痺れるばかり。
私がうかつな解説を加えてしまうと、ここを読んで「シュピーゲル」シリーズを読んでみようかなと思った人が初読時にこの快感を味わうことを阻害してしまいかねないので、このくらいにしておきたいと思いますけれども、これは、大傑作です。

後始末~エピローグのパートもじっくりと描かれているから余韻もたっぷりですし、何より、ラストシーンが、実に良いのです。


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