FC2ブログ

「ポスドク!」

 2018-04-07
博士号までは取得したものの、その後に准教授や専任講師などの役職に就けず、非常勤講師などの任期付きの仕事をしている博士研究員、通称ポスドク(Postdoctoral researcher の略称)が主人公の、高殿円 『ポスドク!』。

私も自分の大学時代に学位論文の指導をしていただいたゼミの教授から、無給助手時代の苦労話を色々と聞いたことがありますが、未だに、若手研究者の実情には厳しいものがあるようです。
もちろん、一部には華々しい実績を持つ花形の若手研究者もいらっしゃるのでしょうが。

本作は、そのような、薄給に耐えるポスドクの1人が、学内政治に揉まれつつ選任への登用の道を模索する姿を描いた、ユーモアあふれる小説です。
単行本では『マル合の下僕』というタイトルだったものを改めての文庫化ということですが、この文庫版の『ポスドク』の方がポップな感じも出ますし、作品の空気感にあっていると感じられるので、この改題は大正解ですね。

ジャンル分けとしてはいわゆる「お仕事小説」の1つということにもなるであろう本作。
ここで描かれているポスドクの状況がどこまで実際このままなのか、それとも娯楽小説化するにあたって多少の脚色・強調が施されているのか、それは分かりません。
が、まぁ、そこはフィクションなので、逐一目くじらを立てていくようなことでもありますまい。
あんまり実態を逸脱しているようでは、それはそれで問題かもしれませんが、多少のウソは許容範囲内でしょう。
何より本作は単純にエンターテインメントとして、娯楽作として、非常に面白いものになっていますから。

……といったところで、最後に一言書くならば、『カーリー』の続巻、待っています、ということです。
あるいは講談社文庫版のセールスがあまり良くなかったのかもしれませんが、完結までもう少しだろうと思えるところまで物語は進んでいるのですし、ここはらで思い切ってどうでしょうか、講談社さん。




タグ :
コメント












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
トラックバックURL:

http://pantarheibekkan.blog110.fc2.com/tb.php/1899-97b162a1

≪ トップページへこのページの先頭へ  ≫