「空飛ぶ広報室」

 2018-03-10
交通事故にあって膝の半月板を損傷し、それによって、内示までもらっていたブルーインパルスクルーになるという夢を断たれた元戦闘機パイロットを主人公に、航空自衛隊の広報室における人間模様を描く、有川浩の 『空飛ぶ広報室』。
作者お得意の「自衛隊モノ」であり、残念ながら私は観ていないのですが、以前にはTVドラマ化もされて、そちらの方も評判が高かったという作品です。

いわゆる「お仕事小説」な本作の読みどころは、民間企業の広報と自衛隊の広報との違いにあるでしょう。
その辺りを詳しく書いてしまうのはネタバレになってしまいますので、これから読む人の為にここでは止めておきますが、公務員であるが故の、そしてさらには、どうしても偏見を受けてしまうことも多く、望むと望まないとに関わらず日陰者扱いされがちな組織である自衛隊故のアレコレは、なかなか面白く読ませてもらいました。
民間企業では簡単にゴーサインがでるようなことも、そりゃあ、単純に進めてしまうわけにはいかないですよね。

本作に限らないことなのですが、全体的に、有川浩の作品には、有川作品だったらこういう風にもなるよな、というお約束なテイストが漂っています。
それが個性であり作風であると考えれば決して悪い事ではありませんけれど、何かとパターン化してしまっている、マンネリ化している、と捉えるのであれば、それはちょっと問題がありそうにも思えます。
「いつもの有川作品」で安心できるというのはブランドの維持には大事ですが、それが過ぎると飽きられて顧客離れを起こすわけで、最近は以前ほど有川作品のセールスが伸びないと聞くのが本当だとしたら、あるいはそういうところに原因があるのかもしれません。
世の中には永遠のマンネリズムで常に一定の売上をキープし続けることができる作品、作家もありますが、有川浩はそこまでの域には至れなかった、ということ、かなぁ。

ちなみに、これもお得意である劇甘成分が本作ではやや控えめになっているのは、最後に3.11を題材にしたエピソードを持ってきているから、でしょうね。
個人的には、もう少しベタに甘くしても良かった気もしないでもありませんが、そこは作り手側の判断すべきことですし、これはこれで、読者に想像の余地が残るので、悪いわけではありません。



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