「横濱エトランゼ」

 2018-02-24
1月13日のエントリで紹介した蜂須賀敬明の 『横浜大戦争』 と同日に同じ書店で買っていたのが、大崎梢の 『横濱エトランゼ』。

これ等を購入した昨年6月辺りに、出版界で特に「横浜ブーム」とでも呼ぶものが起きて、それで横浜絡みの小説が連続して出ていたというわけでもないのでしょうが……
「本館」の「読む」に紹介した 柞刈湯葉 の 『横浜駅SF』 を読んだからなのか、タイトルに「横浜」を冠した作品が複数、色々な書店に置かれているのが妙に気になってしまっていたのです。

おまけに、私がこれを買ったのは作品の舞台である横浜市内の、某駅前にあるテナントビルに入っているそれなりに大きなチェーン書店でした。
仕事がらみで移動中の空き時間を潰しに入ったその店で、書店のフロアでエスカレーターを降りて早々に、これと 『横浜大戦争』 が、平積みだけでなく壁面へのディスプレイもあって、大々的に店頭展開されているのに出くわしたりもしていたのです。
しかも、どちらもサイン本。
それを見て、大崎梢は、他の作品でどんなものが書けるのかは分かっていますから、安心できますし、せっかくのサイン本で、横浜テーマならば、これは買っておかなければいけないな、と、迷いなく購入したのです。

物語の主人公は、推薦での大学進学が決まったイラストの得意な女子高生。
彼女が卒業までの間の短期バイトをしているのは、横浜の中心地区を題材にしたタウン誌の編集部なのですが、そこの本来の編集長がヘルニアで療養に入った為に、今は、彼女が昔から密かに想いを寄せている7歳年上の幼馴染が、臨時編集長に任命されています。
つまり、彼女にはそこでのバイトを通じて、幼馴染との関係を進めたいという気持ちもあるわけです。
その辺りのもどかしさも、一応、読みどころの1つ(一応、と書いたのは、そこへのフォーカスはあまり行われていないから)です。

形式としては連作短編であり、「元町ロンリネス」「山手ラビリンス」「根岸メモリーズ」「関内キング」「馬車道セレナーデ」の5編が収録されています。
それぞれ横浜の観光名所(根岸は、他と比べるとマイナーかもしれませんが、根岸森林公園と競馬場跡がありますしね)をタイトルに冠して、地区の歴史を絡めたストーリーとなっていて、楽しく読ませてもらいました。

もう1つパンチが欲しかったような気もしますけれど、まぁ、これはこれで、アリかと。
ただし、市民とまでは言わないまでも、元々横浜の歴史を少し知っているような人でない限りは、今一つ入れない作品かもしれません。



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