FC2ブログ

「ギンカムロ」

 2017-12-23
私のチェック不足ではありますが、気付かないうちに集英社文庫でも作品を出していたのが、美奈川護。
とはいえ、ライトノベル系に限らず、違う出版社からの新作発表というのは、よくある、とまでは言わないものの、そこまで珍しいことではありませんよね。
執筆する作品の傾向が変われば、ジャンルも変わってくるものですから、もともとお仕事小説系が得意で、一般娯楽小説への親和性も高かった美奈川護が集英社文庫でも作品を出すというのは、なる程、納得の行く話とも言えます。

で、ならば、見落としてしまっていた作品についても順に読んで行ってみようかなということで、まずはその1作目、2015年の6月に出た 『ギンカムロ』 を読了してみました。

予想通りというか何というか、本作は作者のホームグラウンドである、お仕事小説でした。
まぁ、新しいレーベルに進出した時には、自分が一番戦えるものを持ってくるものですし、そもそも編集サイドからも、そういうものを依頼された可能性も高かろうなと思われます。

ちなみに、今作で扱われている職業は、花火師。
隅田川花火大会とか、東京湾花火大会とか、そういう、都会で行われるような大掛かりなイベントの仕事をするようなところではなくて、地方で地元の祭りなどの花火を担当する花火師が題材です。

幼い頃に家業の花火工場の爆発事故で両親を亡くし、高校を卒業後は地元を離れて東京でフリーター生活をしていた主人公。
彼が、社長である祖父に呼ばれて四年振りに帰郷して、祖父に弟子入りして修行中であるという若い女性花火職人と出会うことから、物語が始まります。
じんわりと胸に迫るようなタイプのストーリーで、ベタだと言ってしまえば、これ以上ないくらいにベタですね。
場合によっては、ただ陳腐なだけのものになりかねない、そんなベタさを上手い具合に料理してみせるのが、つまり美奈川護の真骨頂だとするならば……
この 『ギンカムロ』 はその良いところが存分に出ている佳作だと言えそうです。

従来の読者も満足できて、かつ、新たな読者を掴むことにも成功し得る、そんな作品になっていると感じました。

こうなると、表紙のイラストが地味なのが、ちょっと残念なところですが……
ラノベ、キャラクター小説を読まないような新規層を開拓しようというのであれば、むしろこれくらいが正解なのかもしれませんね。


タグ :
コメント












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
トラックバックURL:

http://pantarheibekkan.blog110.fc2.com/tb.php/1855-694a0360

≪ トップページへこのページの先頭へ  ≫