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「レジまでの推理 本屋さんの名探偵」

 2017-12-17
土曜の更新は「10冊と10枚」の紹介で終わりましたが、今回は、毎週末の通常態性に戻って、次回の「本館」更新で「雑記」に掲載する予定の読了本を、先行紹介したいと思います。

千葉の北西部、東京で働く人々のベッドタウンでもある地域にある書店を舞台にした「日常の謎」系統のライトミステリー、似鳥鶏の 『レジまでの推理 本屋さんの名探偵』 です。
書店が舞台のミステリーということなら大崎梢が「成風堂書店事件メモ」シリーズや「出版社営業・井辻智紀の業務日誌」シリーズで既に何冊も面白い作品を発表しています(後者は、厳密には書店のミステリーとは言えないかもしれませんが)。
似鳥鶏はすでにキャリアも評価も得ているわけで、何もここでそんな2番どころではなくて何番煎じか分からないようなことをやらずともいいのではないかという気が少々したのですが……

あとがきによると、そもそも本作は、その大崎梢がテーマを決めた光文社刊のアンソロジー文庫 『本屋さんのアンソロジー』 に掲載された短編に、主人公を一にする同系統の短編を3つ合わせて、全4エピソードの形で単行本化されたものなのだそうです。
なる程、そういうことであれば、納得はできますね。
残る問題は、大崎梢の作品に比して、似鳥鶏がどれだけのものを書くことができているのか、でしょう。
目の前の山の頂は高いので、それを超えることは容易ではありませんけれども、ひとまず、標高は低いとしても別の頂を作ることができれば、まずは成功だと評せると思いますが……うん、とりあえず、そこは及第点、かな。

登場するキャラクターも(ややステロタイプ気味なのが多いのは気になりますが)なかなか魅力的なのは、この手のソフトカバーエンタメ小説においては大事なことで、基本は押さえられていると言えます。
ボリューム的には、あと2つくらいエピソードが入っていると、満足度も上がったと思えるので、そこは残念ですが、まぁ、それはそれとしましょう。
ただし、最終エピソードにして一番長い「本屋さんよ永遠に」はそれまでの3作を踏まえての、いわゆる叙述トリック仕込みの作品なのですが、肝心のその仕掛けが一読した段階では非常に分かりにくいので、疑問というか途惑いというか、そういったものが脳裏をグルグルと渦巻いてしまって、いかにも収まりが悪かったのはちょっと減点。
頭からパラパラと読み直してみたら「ああ、これがこうなってこうなのか」と理解できましたし、呑みこめもしたのですが、もうちょっと上手い見せ方があったのではないかなぁ。
もちろん、本作のそれが下手、とまでは言わないのですけれど。

まずまず面白かったので、続編でも出ればそれも読みたいところですが、内容的に、これはこの1冊限りで完結、という感じですね。
「書店員ミステリー」である以上はどうしても先達を意識せずにはおれませんし、ネタとそのアレンジの点でも独自性の確保に苦労しそうとなれば、その判断も悪くないでしょう。変にシリーズ化して評価がダダ下がりになるケースも多々あるのですから。


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