「僕の光輝く世界」

 2017-12-02
今回、「本館」の更新に先駆けて紹介する読了本である山本弘の『僕の光輝く世界』は、探偵役である主人公の設定が特徴的なミステリー。

どんな風に特徴的なのかをご理解いただく為に、裏表紙に印刷されたあらすじを引用してみましょう。

「気弱なオタク男子、光輝は進学先の高校でもいじめられ、あげくに橋から突き落とされる。搬送先の病院で絶世の美少女と運命の出会いを遂げた、と思いきや、実は既に失明してしまっていた。美少女は果たして妄想なのか実在なのか……視覚を失った少年が、想像力を駆使して奇妙な謎と格闘する不思議ミステリー」

この、「実は既に失明してしまっていた」というのがどういう意味なのかよく分からない、と思われるでしょう。
なので、ここをもう少し詳しく書くならば、主人公の視覚は橋から落とされたことで確かに機能を喪失しています。
ですが、その代わりに 聴覚、嗅覚、触覚等から得られる情報をもとに脳が欠落を補うことで、まるで実際に両の目がそれを映し出しているかのような鮮明な映像が構築されるという、「アントン症候群」という特殊な障害を負っているのです。

そんな都合のいい障害があるのか、とお疑いの人は、どうぞ、私と同じようにネットで調べてみてください。「事実は小説より奇なり」というような言葉もありますけれど、世の中は、まだまだ知らないことだらけですね。

さて、そんなアントン症候群な主人公が解決する事件とは、どのようなものなのか。
ミステリーのネタバレはタブー中のタブーなので具体的なストーリーには一切触れないでおくことにしますが、全部で4編のエピソードのどれもが、なかなかの面白さ。

ストレートではない、ちょっとひねった感じのあるキャラ設定ですけれども、ミステリーとしては案外と素直な作品で、読みやすいですし、これは普段そこまで本を読まない人でも楽しめる、いい1冊だと思います。
税別で860円と、やや値段が高めの文庫本ですが、その分、480ページというボリュームを堪能出来るので、コストパフォーマンスは悪くありません。
お薦め。


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