「マツリカ・マトリョシカ」

 2017-09-16
シリーズ3冊目にして、初の長編となったのが、これまでと少し肌合いを変えて本格推理に寄せてきた、相沢沙呼の『マツリカ・マトリョシカ』。

私があれこれ書くよりも、帯に描かれている粗筋を読んでいただいた方が分かりやすいかなと思ったので、少し長いのですが、引用させてもらいます。

「柴山祐希、高校2年生。彼は学校の近くにある廃墟ビルに棲んでいる、謎の美女・マツリカさんに命じられて、学校の怪談を調査している。ある日、偶然出会った1年生の女子から『開かずの間の胡蝶さん』の怪談を耳にする。2年前、密室状態の第一美術室で起きた、女の子が襲われるという事件。解決されないまま時が過ぎ、柴山の目の前で開かずの扉が開くことになったが、そこには制服を着せられたトルソーが、散らばる蝶の標本と共に転がっていた。現場が誰も出入りできない密室という状況で再び起きた事件。柴山が犯人と疑われる事態になってしまい……。彼はクラスメイトと共に、過去の密室と現在の密室の謎に挑む!!」


殺人は起きていませんが、密室、そして推理合戦という、実に「らしい」ミステリーであり、そしてなかなかに優れた青春小説でもあった本作。
これまでのシリーズ2冊と印象が結構変わっていますが、私としては、それも問題無し。

これを単体で読んでも楽しめるとは思うのですが、できればシリーズを最初から読んでいただいた方が、各キャラクターの関係とか、性格、背景などが分かるので、お薦めです。
ヘタレでありつつ、どこか芯のある主人公に感情移入できるかどうか、という点はあるでしょうし、その太腿へのこだわりの強さにドン引きすることもあるかもしれませんが、面白さは保証します。
今回はそれに加えて、女子制服のプリーツスカートに対するこだわりも明らかになりましたが、その辺がどういうことになっているのかは、読んでみてのお楽しみとしておきましょう。
それを「お楽しみ」と言っている時点で私もどうかしていると思われるかもしれませんが、実はこれ、物語上、意味のあることなのです。本作は推理要素が前面に出ているので、ミステリーのルール違反をしない為にも内容にはほとんど触れずに済ませますけれど、これは、かなり面白い1冊でした。

なお、タイトルには「マトリョシカ」と書かれていますが、これは、シリーズのタイトリングの都合によるものであり、本作において、マトリョシカは出てきません。
そこを期待している人が(そんな人がいるとして)、この感想を読んだ結果本作を手にして、「何だ、マトリョシカが出てこないじゃないか」とがっかりしてしまうと申し訳ないので、最後にその点をお断りさせていただきます。


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