「モノクロの君に恋をする」

 2017-08-12
都内の名門私立大学を舞台に、世間からのはぐれ者的な、ちょっと、いや、かなり個性的なメンバーが集まったマンガ研究会に入会することになった新入大学生の小川卓巳を主人公にした作品が、坂上秋成の「モノクロの君に恋をする」。
これはつまり、周囲に馴染めなかった過去を持つ男女が織り成す青春小説、ボーイ・ミーツ・ガールな青春小説であり、要するに私の大好物、ということです。

この作者の作品を読むのは今回が初めてですが、なかなかいい感じに青い春を描けているのではないでしょうか。
こういう作品の場合は、いかにして読者に主人公への共感を抱いてもらうかが1つのカギになる、と私は思うのですけれども、その点では、まずまず上手いことできていた、と言ってもいいかもしれません。
ただしこれは、私自身も大学時代に漫研に所属していて(ここまで変人揃いではなかったですけれど)、それなりに大学生活をエンジョイしていたという経験を持っているし、何よりアニメだのマンガだのが好きだということもあるから、その下地があるが故にそう感じることができているのかもしれません。
なので、そういう経験が無い人までがそうなのかは、保証できません。

あとは、アレですね。
最近こういう題材を扱った作品で散見させられるのが、そのストーリーだったり作品性だったりに特に言及することなく、他のマンガ作品のネタを作中に堕してくるというのは、ちょっとまずいんじゃないかな、と思います。
ここで採り上げられている諸作品について、私はそこそこ知識を持っていますから、「ああ、これはそういうことね」と納得することもできますけれど、普段そこまでマンガに親しんでない人とか、リアルタイムではない過去の「名作」にまで手を出して楽しもうというところまで踏み込んでいない人とか、そういう人に対して、もうちょっと親切でもいいかな、と。

まぁ、でも、面白ければそれでOK、なんですけどね、突き詰めてしまえば。
そう考えれば、これはこれでいいとも言えますが、どうせなら、もっと一般への訴求力も強くすればいいのにな、と思うんですよね……。
せっかく基本的な面白さがあるのですから。


タグ :
コメント












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
トラックバックURL:

http://pantarheibekkan.blog110.fc2.com/tb.php/1798-b007e98d

≪ トップページへこのページの先頭へ  ≫