「魔術師のおい」
2017-02-04
岩波書房から瀬田貞二さんの翻訳で出ていたナルニア国物語のシリーズが、光文社から新訳で出はじめたのは、昨年の9月のこと。岩波版が出版順にナンバリングされるのに対し、こちらは作中の時間軸に沿った順番という違いがあります。
その為、例えば岩波版で1冊目になっていた『ライオンと魔女』は、こちらでは『ライオンと魔女と衣装だんす』として、シリーズ2冊目として刊行されています。
海外でも最近はこの並びでの刊行が主流だといいますが、個人的には、やはり小さい頃から自宅にあった岩波版の順番でないと、しっくりこないところがあるのというのは、正直なところ。
また、幼少時から瀬田訳に馴染みきっている身としては、新訳といわれて、まず不安を覚えてしまうのですが……
実際に、今回、「本館」に先がけた読了本紹介に採り上げることにした、第1回配本の『魔術師のおい』の実物を読んでみた限りでは、まずまずという感じ。
ちなみに、岩波版が今では絶版になったわけでもないのに、別の出版社から新訳版が出ることになったのは何故なのか。
これはどう考えても、C.S.ルイスの著作権が切れてフリーになったのでしょう。
そこで調べたところ、彼の没年は1093年11月22日。
日本において法律で保障される著作権は没後50年です。
ルイスが亡くなったのは第二次大戦が終わってサンフランシスコ講和条約が交わされた後ですから、約10年半(ルイスの母国イギリスの場合で3,794日)の戦時加算も無いから、単純計算で2013年末までですね。
やはり、今はもう著作権がフリーになっています。
各巻の並び順以上に翻訳者の違いというのは結構大きな要素ですが、とりあえず本作を読んだ時点では、そこまで違和感を覚えずに済んでいます。
私自身は、今までナルニア国物語シリーズを手元にしてはいませんでしたし、これなら光文社版で買い揃えるというのもありかも。
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