「カムパネルラ」

 2017-01-14
今回、「本館」に先がけて紹介する読了本として選んだのは、山田正紀の長編SF作品である『カムパネルラ』。
本屋でその書名を見かけた瞬間に、即座に手に取って購入を決めた一冊です。

このブログをお読みの人の中で、「カムパネルラ」と言われても、それが何を指すのか全く分からない、という人はどれくらいいらっしゃるでしょうか。
私が小さい頃からの宮沢賢治ファンだから、個人的には、改めて言うまでも無いことかもしれないとさえ思うくらいなのですが、「カムパネルラ」とは、賢治の代表作「銀河鉄道の夜」に登場する、主人公ジョバンニの親友にして彼と一緒に幻想四次の銀河鉄道に乗る少年の名前です。

そんな大きな名前をタイトルに冠した本作は、作者が賢治と「銀河鉄道の夜」に題材を得て架空の日本を舞台にした描いたディストピアSF。
前述の通りに、もともと幼少の頃から賢治の作品が好きで、ちくま文庫版の全集も所有している私ですので、大いに面白く読ませてもらいました。

この『カムパネルラ』のキモは、「銀河鉄道の夜」の初期稿と一般に知られている第四稿との間に存在する、内容の大きな変化にあります。
そこに、同じく賢治の死後に発表された「風の又三郎」と、その原型となる作品ではあるものの内容は大きく異なる「風野又三郎」との相違を絡めてきた本作には、なる程、あれをこう料理してくるのか、と唸らされたました。

そう考えると本当の意味できっちりと楽しんで読むには、事前学習的にそれらの作品を読んでおく必要がありそう。
なので、そういうものをいきなり他人に薦めていいものか、更にそれを「本館」だけではなくて、この「別館」の方でもプッシュするということには、躊躇を感じないわけではありません。
ですが、面白いものは面白い、という基本的大前提に則り、そこを敢えて、紹介させていただこう、と。

なお、「銀河鉄道の夜」の第三稿や「風野又三郎」は、世に普通に売っている宮澤賢治作品集的な文庫などには、さすがに収録されていないません。
ですが、ちくま文庫から出ている宮沢賢治全集であれば、今でも簡単に読むことができます。
興味が出たという人は、是非、そちらもお読みください。

 カムパネルラ
 (創元日本SF叢書)

 (2016/10/10)
 山田 正紀
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