「凶器は壊れた黒の叫び」

 2017-01-07
 2017年で最初に、この「別館」において紹介する読了本は、「階段島シリーズ」の第4作目となる、河野裕の『凶器は壊れた黒の叫び』。

各所で高い評価を得ているシリーズの最新作ということで、どうしたって刊行前から高い期待を寄せられてしまう宿命を背負うのは、これは仕方のないところでしょう。
そのような作品の場合、その期待、課せられてしまったハードルに応えられているのかいないのか、また、陳腐でありふれた展開に堕ち込むことなく、読者に新鮮さを提供し続けていられるかどうか、そこが大きな鍵になってきますよね。
いわゆる、「予想は裏切り、期待は裏切らない」という状態を達成できているか、ということです。

それを踏まえつつ、読んでみた本作。
今回も話はかなり動いていて、これまで描かれてきた人間関係に大きな変化が訪れそうな予兆が描かれました。
不安定で不条理で優しい場所である階段島がこれからどうなるのか、そこで暮らす「自分に捨てられた」人達がどうなってしまうのか、物語は加速度を増しつつあります。
期待値に比して100点満点とまでは行きませんでしたが、まずまず、いい感じの1冊となっていました。

作者のインタビュー等によれば、どうやら「階段島シリーズ」は、その構成的に折り返し地点を過ぎているらしいです。
ここまで話が進んでいて、実はまだまだ序盤だよと言われても困ってしまうので、これは納得。
おそらくですけれども、起承転結で言えば「転」の序盤くらいにはなっていると思われますので、この感じだと全6巻か7巻くらいに、なるのでしょうか。

その上で、ここでちょっと話は変わるのですけれど、実は、個人的に、このシリーズに関しては、面白いし刺激もあるのだけれど、何だか乗り切れない、入りきれない、微妙な「コレじゃナイ」感を覚え続けていたりするのです。
で、それは、実は河野裕という作家が一般に最も評価されているところかもしれない文章スタイルが、私には今一つ合わない(何だかちょっとクドく感じられるのです))からかもしれないということを、本作を読んでいて感じたのですが、まぁ、それは余談。

だからシリーズを読むのを止める、ということは、ここまで読んできて先の展開も気になっている以上は、あり得ないことですしね。

 凶器は壊れた黒の叫び
 (新潮文庫nex)

 (2016/10/28)
 河野 裕
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