「宰相の二番目の娘」

 2016-12-31
この「別館」における、2016年最後の読了本紹介は、アラビアンナイトを底本にした『宰相の二番目の娘』。
以前に紹介した「たんぽぽ娘」を書いた、ロバート・F・ヤングの手によるライトタッチSFファンタジーです。

例えば東京タワーの蝋人形館あたりを想像してみて下さい。
ああいった、有料施設での展示で使うロボットを製作する為に、過去にタイムトラベルして歴史上の重要人物を一時的に拉致してくる、という仕事に仮採用されたのが、本作の主人公。
その初任務を上手くをこなして、それ等のロボットを作っている自動マネキン社の社員正採用を勝ち取るのが、彼の目的です。

しかし、そのミッションの対象であった、「千夜一夜物語展」の実施に必要とされたシェヘラザードではなく、その妹のドニヤザードの方を誤って攫ってしまったことから、本作の冒険譚が始まります。

まぁ、内容的には非常にベタなストーリーで、こうなればこうなるよね、というオーソドックスさをしっかりと踏襲した展開です。
ということなので、当然のように、主人公とドニヤザードの間には恋愛感情が生じるのですが……
そこにはそれぞれが生きる時代の違いという障害があるわけで、そこがどうなるか、どのように乗り越えていくのか、というところがラストの1つの大きな読みどころ。

とはいえ、そこまでのお約束を外さない流れがあるからか、全く心配もハラハラもしないまま、最後は大団円となっていました。

そもそも、ラストについては描写も最初から薄めだというのもあるから、盛り上がりという点で大いに欠けるところがあったのが残念。
何だか、取ってつけたようなラストにも見えてしまうんですよね。

それでも、全般的には「時間モノSFにハズレなし」という言葉が今回も証明されたかな、という印象は、あります。
ただ、「ハズレ」は無かったかもしれないけれど「大当たり」でも無かったとも言えます。
要するに小ヒットなわけですが、うん、でも、面白かったです。
安心して読める定番的な物語と言えるでしょう。


今年最後の別館が読了本紹介というのもアレですが、ともあれこれをもって2016年も終わり。
今年のご愛顧を感謝させていただくとともに、来年もこの「別館」をよろしくお願いしますと申し上げて、今回のエントリの締めとさせていただきます。
皆様、良いお年をお迎えください。

 宰相の二番目の娘
 (創元SF文庫)

 (2014/10/31)
 ロバート・F・ヤング
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