「この恋と、その未来。 -三年目 そして-」

 2016-12-03
いよいよ完結した、森橋ビンゴの『この恋と、その未来。』が、今回、「本館」に先がけて紹介する読了本として選んだ一冊です。

一旦は打ち切りが決まったものの、最終巻の発売を求める声があちこちで発せられたことをきっかけにして、これまで通りに既刊と同じレーベルから無事に刊行された本作。

前巻において、未来が学校を退学して何処かへと去ってしまった後、バイト先の店長であり一番上の姉の大学時代の友人であり、かつて父の愛人でもあった楠木広美と男女の関係になった主人公。
そんな彼の高校3年生の、どこかに歪さを抱えながらも、穏やかで平和に過ぎて行く日々と、やがて迎える卒業の時、そして再開、というのが、物語の最終盤である今回の流れ。

本作は、そもそも第1巻の段階から、主人公と未来が恋愛関係になるという終わりは想像もできない、そういう意味では断じてハッピーエンドにはなり得ない物語でした。
読み終えて感じたのは、ほろ苦さと共に、青春のやるせなさ、思うに任せぬ様、人間関係のもつれ、そういった決してプラスでだけは語れない諸々を描いて、最後は、作中の表現を借りるのであれば、そういった青春の鬱屈から「憑き物が落ちた」状態に主人公がなれるまでを描いた、つまりは少年が精神的に大人になっていく姿を描いた作品なんだなということ。
そう考えれば、主人公の周囲の登場人物、一時は付き合ってもいた三好沙耶や、後輩で主人公にほのかに思いを寄せていた梵七施、その他色々な人達との関係の結末についても、きちんと落ち着くところに落ち着いたと感じられます。

つまり、テーマも物語の構成も非常に普遍的な、オーソドックスなものだということになります。
その一方で、現在のラノベのセオリーというか、売れる作品、ウケる作品の必須要素というようなものを、おそらくは意図的に大きく外してきているのが、本作の特徴。
つまり、2014年から2016年という時代に発売されるファミ通文庫作品としては、明らかに異質なのです。

そんな作品が、一旦は打ち切りが決まったりして揉めはしたものの、こうして何とか無事に完結し、読めたということに、ひとまずは感謝を。
終始、面白かったですし、全6冊、気楽に読めるようなタイプの物語ではないながら、大いに楽しませてもらいました。

 この恋と、その未来。
 -三年目 そして-
 (ファミ通文庫)

 (2016/11/30)
 森橋 ビンゴ
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