「鉢町あかねは壁がある カメラ小僧と暗室探偵」

 2016-11-12
以前に読んだ『演奏しない軽音部と4枚のCD』が中々面白い小説だったという記憶があるので、書店で文庫の棚を眺めていて目に入ってきた瞬間に、おお、これは買ってみようかなと思って購入したのが、今回、「本館」更新に先がけて紹介する読了本に選んだ、高木敦史の『鉢町あかねは壁がある カメラ小僧と暗室探偵』。

とある高校の幽霊部員の多い写真部の、その部員の中でほぼ唯一と言っていいくらいに熱心な活動をしている有我遼平が、本作の主人公。
そんな彼が、その学生生活の中で出くわす様々な事件を、彼の幼馴染にして今は疎遠になっている鉢町丹子が、持ち前の人並み外れた洞察力で相手が自分だと有我に気づかれないようにして、彼の手助けをして解決して行くといった内容です。

いわゆる「日常の謎」の青春ミステリーに分類されるような作品ですね。

そんな中、本作の大きな特徴となっているのが、出てくるキャラクターのほとんどが、かなりクセが強いということでしょうか。
その結果、結構利己的でエゴの強さが前面に押し出されるので、「青春」は「青春」でも爽やかさとか健やかさというものは、正直言ってあまり感じられません。
が、考えようによっては、それが却って本作にリアルな高校生感を出した、とも言えそうです。
悪人、とまで断定していいかどうかはともかくとして、結構タチの悪いことをしている登場人物が、最後まで悪びれる振りも見せなかったりするのも、実際はそんなもんだろうなと思わされます。
あまり露骨な描写こそ避けられていますが、わりとエグいところもあったりしますから、そこは読み手の好みの分かれる部分でしょう。

私はそれなりに面白く読ませてもらったので、彼の他の作品にもちょっと興味が出てきました。

 鉢町あかねは壁がある
 カメラ小僧と暗室探偵
 (角川文庫)

 (2016/6/18)
 高木 敦史
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