「セルフ・クラフト・ワールド」第3巻

 2016-10-08

全3巻のシリーズ完結編となった、芝村裕吏の『セルフ・クラフト・ワールド』第3巻。
大規模多人数同時参加型オンラインRPG<セルフ・クラフト>のシステムや世界観、そこにおいて形成された特異な生態系等を描いた1冊目。
一転して現実世界から<セルフ・クラフト>を巡るパワーゲーム等から、世界に訪れる「その時」を描いた2冊目。
それ等に続き、今回は「その後」の人類と<セルフ・クラフト>が描かれます。

このシリーズはその作中で、作者が過去にハヤカワ文庫JAで出した作品、『この空のまもり』や『富士学校まめたん研究分室』、『宇宙人相場』と世界が共通であることが明確に示されているのですが、それだけに第2巻のラストはかなりショッキングでした。
何だかんだ言って、基本、ハッピーエンドが好きでロマンチストな部分のある私なので、それを読んで、うわぁこれはクるな、となったというのが正直なところ。
となると、全3巻と予告されたシリーズの最終巻、つまり今回読んだコレがどうなっているのかが、かなり重要になってきます。

さて、そうして読み始めた第3巻。
出だしから、おぉうっとなるような物語、そしてキャラクターが展開されていますが、しかしまぁ、これは状況を考えればそうもなるかという納得の範囲内。
問題は、そこからどのように展開させて、どのようなラストに持っていくか、です。
この辺を詳しく書くとネタバレになるのでそれは止めておくとしますが、なる程そう来るかというところで、SF的には大団円のハッピーエンド(ただし、最後にややビター要素あり)と言っていいでしょう。
個人的には、100点満点中の80点くらい、かなぁ。
これが過去作との関連をここまで直接的に表に出していないで書かれていれば、90点~95点は行っていたかも。
やはり、ハッピーエンドに満足させてもらった作品のその後がこうなる、というのは、多少、気落ちさせられるところもあるので。
しかし、それを抜きにすれば……というか、それを含めてもかなりのハイスコアな作品となったのは確かであり、つまりは気に入っている、ということになります。

ちなみに、登場人物その他が繋がるから、といって、本作を読む前に『この空のまもり』その他の合計3作品を読んでおくべきかどうか、ですが、うーん、その方が良くもあり、そうでも無くもあり、というところです。
知っていれば、より『セルフ・クラフト・ワールド』という作品に深みが増すのは、確かです。
が、知っているが故に、ここで描かれる物語に拒絶感を覚えるという可能性も、ありますから。
なので、これから読もうかなと思っているという人は、その辺は、自己判断で。

 セルフ・クラフト・ワールド 3
 (ハヤカワ文庫JA)

 (2016/9/21)
 芝村 裕吏
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