「筺底のエルピス4 -廃棄未来-」

 2016-10-01
今回は、オキシタケヒコの『筐底のエルピス4 -廃棄未来-』を、「本館」に先がけた読了本紹介に選びました。

これは、もともとはシリーズ第3章として文庫1冊の構想だったものが、執筆をしていくうちにボリュームが増えて2冊になった、その後編部分にあたるものです。
その結果として主人公達以外の、このエピソードの主要登場人物達の描写が細かく丁寧なものになったと思われ、それが物語に深みを与えているのは確実です。
つまり、2分冊化を了承したガガガ文庫の編集部はいい判断をした、ということになりますね。

なお、その深みが、主に絶望を描く方に向いているのがこの作品の凄いところ。
筋肉少女帯に『断罪!断罪!また断罪!!』というアルバムがありますけれども、それに倣うならば、さしずめ『絶望!絶望!また絶望!!』とでもいいましょうか。
詳しいことはネタバレになるでの避けますけれども、全500ページという厚めの文庫本のほぼ全編にわたり、読んでいて苦しい展開がこれでもかと続いているのです。

第1巻を読んだ時は、古来より「鬼」や「悪魔」と呼ばれていた存在、異世界からやってきて人々の心に憑依する「殺戮因果連鎖憑依体」との戦いをメインにして、そこに各勢力の対立だったり政治的策謀だったりを絡めてくるS異能Fバトルアクションものになるのかな、と漠然と思っていたのですが……
まさか、ここまでガッツリと人間側の争いが描かれるとは、予想もしていませんでした。
そして、その描写が、これほどまでに情け容赦のない、凄惨かつ苛烈で、しかし物語に対して誠実なものになるとも。

なる程、だからこその作品タイトルであり、第4巻のサブタイトルになるのか。

作者の Twitter には、ようやく書きたいテーマに辿り着いたという段階であり、これが全体の折り返し点であることが書かれています。
その上で、ここからどのように物語が展開して行くのか。
このラストの絶望から救いはあるのか。
その筐の底に希望(エルピス)は本当に残っているのか。

もう、第5巻が待ち遠しくて、楽しみで楽しみでなりません。

 筺底のエルピス4
 -廃棄未来-
 (ガガガ文庫)

 (2016/6/17)
 オキシ タケヒコ
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