「響け! ユーフォニアムシリーズ 立華高校マーチングバンドへようこそ 後編」

 2016-09-17
「本館」更新に先がけた読了本紹介、今回は、武田綾乃の『響け!ユーフォニアムシリーズ 立華高校マーチングバンドへようこそ』後編を選んでみました。

名門私立高校を舞台にして、文化部でありながら体育会系な吹奏楽部における、上級生と下級生という上下関係、そして同学年内のライバル関係等の、部内という狭いコミュニティーの中で成立している様々な関係性と、この年代の(特に女子)に良くあると思われる、自意識と不安とがないまぜになった複雑な感情とが大きくクローズアップされた物語です。

すっかりダラケてしまっていて、大会で成績を残すことなど考えていなかった部が、新任の指導者の影響で全国大会に行くまでに急成長する姿を描いて行った本編。
それと違って、こちらはもともと技術も実績もある名門校に進学した才能ある生徒が主人公ということで、努力・団結・勝利的なスポ根な展開を抜きにして、「ティーンエイジャー女子の友情」に焦点を合わせています。
上手く両作品の差別化がされている、と言っていいでしょう。

大人になってしまえば大したことでは無いながらも、高校生の身にすれば大きな違いである高校1年、2年、3年という学年の佐賀から来る上下関係。
「友情」というカバーがかけられた共依存や支配被支配関係。
支配しているつもりだった側が実は支配されていたり、「友情」と思っていたものが単なるエゴだったり。
外から見る分には時に些末なことのようにも感じられてしまう衝突も、本人達にとっては生死にかかわるような大変な事態だったりするわけで、そういうところをしっかりと描いて、かつ、主人公の成長譚としても成立させているので、これはなかなか面白かったです。

本質的に悪人なキャラがいてもいいかな、というようなことも、ふと思ったりもしましたが、それが入ると随分と作品の印象が変わってしまうし、これはこれで、悪人がいない今の状態がベストですね。

 響け! ユーフォニアムシリーズ
 立華高校マーチングバンドへようこそ
 後編 (宝島社文庫)

 (2016/9/6)
 武田 綾乃
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