「声のお仕事」

 2016-09-03

川端裕人の小説 『銀河のワールドカップ』 が 『銀河へキックオフ!!』 というタイトルでNHKによりアニメ化されたのが、2002年から2003年にかけてのことでした。
その際にアフレコに立ち会ったりした見聞した声優の事、特に駆け出しの若手についての物語を青春小説としてまとめたのが、今回、「本館」更新前の読了本紹介に選んだ、『声のお仕事』 です。

養成所を出てから事務所預りの身にはなれたけれども、年齢は20代後半になろうかというのに未だに「これぞ」という代表作を持たない若手男性声優の結城勇樹が、本作の主人公。
で、その彼を取り巻く声優仲間、事務所の社長やマネージャー、そして幼馴染などとの関係を通じて、何故彼がその道を選んだのか、といったことが語られる物語となっています。

これぞ我が道、と選んだものを、迷いながらも進んでいく若者の姿を描くということで、これは正しく青春小説。
20代後半という主人公の年齢設定を以って、「これを青春小説と呼んでもいいのか」と思われる人もいるかもしれませんが……
内容的なことはもちろん、20代後半って、まだまだ青春時代だよなぁと、いい年齢になってしまった中年男性としては思いますし、それはよしとしておきましょう。

声優ネタで青春小説ということだと、現在のラノベ界隈的にウケを狙おうとするといくらでも「萌え」要素を投入していくこともできますし、実際、そういった作品は既に存在しています。
当初、新刊発売予定で本作のタイトルを見た時に、『こえでおしごと!』や『それが声優!』といった先行作品が脳裏をよぎって、まさか女性声優を主人公に川端裕人がアノ手の作品を書いたということか、と少々驚いたのですけれど、まぁ、さすがにそんなことはありませんわな。

本作は1人の若者の仕事への情熱と迷い、成長を描くというのが基本路線であり、認識としては、表紙折り返し部分にも印字されているように、ソフトカバー単行本で最近増えている「青春お仕事小説」の1つとして捉えるべき作品です。

主人公の過去の要素の絡め方もいいですし、その辺りは、さすが川端裕人、というところでした。

 声のお仕事
 (2016/2/12)
 川端 裕人
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