「君の名は。」

 2016-09-01
『言の葉の庭』 から3年、新海誠監督の最新作品、『君の名は。』 を観てきました。

どこかで聞いたようなタイトルですが、本作は別に、女湯を空にはしないし、岸惠子の演じるヒロインがしているストールの巻き方が流行ったりもしません。
しかし、何の思惑も無く、これだけ有名なタイトルを拝借はしないわけで、少年と少女のすれ違う思いを、春樹と真知子のそれに投影してみせようという意図でも、あるいは、あるのかもしれませんね。

公開が始まったばかりの映画について、そのストーリーを書くのはネタバレになるので極力避けるようにしてきましたし、今回もそうしようと思うのですが、まぁ、男女の高校生の意識の入れ替わり現象から始まる物語だ、ということくらいは、書いてもいいでしょう。
山中恒の 『おれがあいつであいつがおれで』 や、それを原作にした大林宣彦監督の 『転校生』 等、過去に様々な作品が生み出されている設定で、ある意味、鉄板であると言えると同時に、非常にベタであるのは否めません。
となれば、そのベタさをどのように料理してくるのか、どういう味付けでオリジナリティーを出してくるのか、そこが勝負どころになってくるのですが……

その点について新海監督が出した答えが、本作のミソです。

これはこれでベタなことに変わりは無いのですが、ただ単純なダダ甘なだけのラブストーリーに本作を留まらせないことになったという点からも、これは良かったと感じました。
過去の作品などから考えても、この方向の調理は、監督のお得意ジャンルなのかな?

例えありきたりなストーリーに終始してしまっていたとしても、背景美術や画面作りの美しさだけでも劇場のスクリーンで観るに値するだろうと思って映画館まで足を運んだ私なのですが、これは、想像以上に面白かった。
前半のパートは、やや退屈なパートもあったのですが、そういう間延びしている部分はあったものの、後半に入った辺りからラストに向けての展開は、しっかりと盛り上がって引き込まれましたし、物語上の仕掛けについても、かなり予想ができてしまったので、びっくりさせるような驚愕の展開、とは行きませんでしたけれども、綺麗にまとめ上げた、いい物語でした。
先週観た 『傷物語Ⅱ 熱血篇』 は、アニメファン、物語シリーズファン に向けて作られたような、そういう層のみが楽しめるタイプのディープな作品でしたが、この 『君の名は。』 は、テーマも普遍的ですし、より広く、一般にも楽しんでもらえるような、そういう間口の広い作品になっているのではないでしょうか。
どちらも面白いのには、変わりがありませんけど。

ただし、突っ込みどころが無いわけではなくて、一番気になったのは、「そこってそんなに短時間に往復できる場所なのか」というのが2個所と「さすがにそのタイミングからだと間に合わないのではないか」というのが一個所。
ドラマ的、エンターテインメント的には正しいのですが、リアリティーは無いかな、と。
とはいえ、そもそも本作にはファンタジー的な色味が強いので気にしても仕方が無いとも思いますし、ここは、まぁ、突っ込むだけ野暮、かな。

なお、本作には、前作 『言の葉の庭』 のヒロインである 雪野先生 が登場するシーンがあります。
監督本人が 「『君の名は。』には、僕の過去作のモチーフもたっぷりと盛りこまれています。」 と自身の個人サイトで書いているのを、映画を観終えてこのエンントリーを書く準備をしている時に知りましたが、なる程な、という感じですね。
『言の葉の庭』 よりも前の作品は観たことが無いので、そこからの引用、セルフオマージュについては、良くわからないものの、つまるところ、監督は、これまでの自身の創作活動の集大成として本作を位置づけているのだろうなというのは、ここから察することができそう。

結構気に入った作品となりましたし、これは、Blu-ray が出たら、買わなければいけないかもしれません。


公式サイトは こちら から



タグ :
コメント












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
トラックバックURL:

http://pantarheibekkan.blog110.fc2.com/tb.php/1644-82659ffe

≪ トップページへこのページの先頭へ  ≫