「エチュード春一番 第一曲 小犬のプレリュード」

 2016-07-23
中高一貫教育のお嬢様女子から内部進学せずに外の大学に入学した主人公、美綾が新しく始まった大学生活で体験することになる出来事を描く、荻原紀子の『エチュード春一番 第一曲 小犬のプレリュード』。

両親と弟が父の海外勤務に伴ってロンドンに行ってしまった為に、大学進学と同時に1人暮らしを始めた彼女の元に、八百万の神の一柱であると名乗る一匹の犬が転がり込むことから話は始まります。
その後、大学のキャンパス内で小学校の途中で転校して行ってしまってから接点が一切無くなっていた昔の同級生の智佳と再会し、更にその智佳の提案で同じ小学校からその大学に進学している男子の澤谷光秋と3人でカフェで話をすることになるのですが……
その際に話題にあがったのが、かつて小学校時代に美綾のことをいじめていて、中学3年の春休みに無免許運転のバイクで事故を起こして死んでしまった香住健二という男子生徒の話。
以後、物語はこの3人の関係と、智佳が澤谷の背後に憑いているのを見たという香住の幽霊を軸に進んでいきます。

この先の細かい展開や結末はネタバレになるのでここには書きませんけれど、「あぁ、うん、女の友情って、こういうところってあるって聞くよな」というような、ちょっと重い部分のある話です。
しかし、神様であるところのモノクロ(美綾が上記の犬に付けた名前。犬種がパピヨンで白と黒とのモノトーンカラーの毛並であることから命名されています)の存在が、本作が必要以上にドロドロとしてしまうのを防いでいるのではないでしょうか。
その為、最後までわりにサラッと読み進められたように思います。

これはアニメ化もされた『RDG レッドデータガール』でもそうだったのですが、児童文学系の出身であることが影響しているのかどうか、会話の文体がお上品すぎるというか、今どきの女子大生はこんな言葉遣いはしないだろうというのが散見されるところに、若干の違和感を感じたのがマイナス点。
本作の主人公の場合はお嬢様学校育ちということで多少の理由にはなりますが……。

なお、作中で名前こそ出てきませんけれども、主人公が通う大学の描写が思い切り早稲田大学なのは、それが荻原紀子の出身大学だから、ですよね。

 月世界小説
 (2016/1/19)
 荻原 紀子
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