「天空の約束」

 2016-07-16
以前に本館で紹介した『雲の王』の続編……というか、同じ世界、同作に登場した一族に係る別のストーリーを描いているのが、川端裕人の『天空の約束』。

作者自身のブログで書かれていた宣伝文句を、ここにも転記させてもらうことにします。

「身の回りの空間の気候、すなわちの研究者である八雲助壱。元教え子と共に「雲の倶楽部」なる会員制のバーを訪れた彼は、不思議な小瓶を預かることに──。戦時にも遡る、空の一族の壮大な物語」

目次を見てみると全9章立てになっており、それもあって、読み始めた当初は一族を主人公にした様々なエピソードを並べた短編集みたいなものかなと思ったんですよね。
ですが、ページをめくって行くうちに、これはつまりエピソードが積み重ねられて行って全体として1つの大きな物語を形成するというタイプの構造になっていることに気が付きました。

ちなみに、前述の通り全部で9つある章の内、この作品の中核をなしているのは6つ目のエピソードである第5章(冒頭の「雲と遠雷」は序章という扱いになるので、カウント上はこうなります)の「分教場の子ら、空を奏でる」。
これだけで86ページ、本作は全266ページなので、およそ1/3を占めている計算になります。
ボリュームの点だけではなく、内容的にもこの章が全体の印象、作品の傾向を決定付けているということからも、この章こそが『天空の約束』であるということも言えなくもない、かな?

それだけ強烈な読後感のある「分教場の子ら、空を奏でる」なのですが、これを読んでいて私の脳裏に浮かびあがってどうしても離れてくれなかったのが、恩田陸の『光の帝国 -常野物語』でした。
同じだとか二番煎じになっているとかは言いませんけれども、わりと似たような題材になっているように思えます。
その分だけ、本作を読んで受けるインパクトが薄れたのは事実で、それはちょっと残念かもしれません。

 天空の約束
 (2015/9/25)
 川端 裕人
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