「江ノ島西浦写真館」

 2016-06-18
『ビブリオ古書堂の事件手帳』シリーズですっかり名前を挙げた三上延が、初めて書いた単行本形式の本だという触れ込みの『江ノ島西浦写真館』。
今回、「本館」に先がけた読了本の紹介には、これを選んでみました。

経営していた祖母が亡くなったことで売却されることが決まったという、神奈川県は湘南の江ノ島にある写真館。
母に言われて、そこに残されている様々な荷物の整理に訪れた孫娘が、依頼主に渡されずに残されていた写真に秘められた謎を解いていくという物語です。

とある物語形式の本が売れると、雨後の竹の子のように類似作品がわらわらと発売されるのは、仕方が無いことかもしれません。
「鶏口となるも牛尾となるなかれ」というのは理想ではあっても実現はなかなか難しいですし、2番煎じや3番煎じくらいまでならまぁOKで、それ以降でも何気にとても面白いモノが書けているのであれば、それはそれでいいかなと私は思っているのですが……
エピックになった作品を書いた本人がそれをやるというのは、本人の為にならないんじゃないかと思ったのも事実。
営業中の古書店と店仕舞いした写真館、北鎌倉と江ノ島、という違いは確かにありますが、ある意味、これくらいの相違であればむしろ同じようなものと言ってもいいだろうと、そんなことを考えつつ読み終えました。

そんなわけで、実は読み始める前は、一応買ってはみたものの、あまり内容には期待していなかったのですけれど、これは、予想以上に、いいですね。
この作品の主軸となく物語の部分に、ちょっと無理があるんじゃないかなと感じてしまうところも無きにしも非ずでしたが、まぁ、230ページ弱というこのボリュームで、しかも1冊で物語を完結させようと思ったら、これもやむを得ないかもしれません。
ただし、その結果、どうしてもモヤモヤするというか、多少の物足りなさがあるのは否めません。
できれば、2冊もしくは3冊くらいの量であった方が、この作品にとって、この物語をしっかりと語ろうとするには、もっと良かったかもしれませんけれど、現状のこれはこれで、コンパクトにまとまっていて、いい感じにも思えなくもない、と言うこともできそうです。
徹底して簡潔な方が好き、という人も多くいらっしゃるでしょうから、この辺は、好みの問題かもしれませんね。

 江ノ島西浦写真館
 (2015/12/16)
 三上 延
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